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十五、赤居の考え

「なんでしょうか、ナツヒ様」


明るくなったナツヒの部屋に呼び出された赤居はナツヒの様子をうかがう。

以前のナツヒからは、(よわ)(よわ)しい妖気しか感じなかった。

しかし、今は元の力を取り戻しつつある。

実際にナツヒと(あい)(たい)すると、以前の(はく)(りょく)を感じ、思わず(ひざ)をついた。

気配からわかる。

ナツヒの()(げん)は悪い。


「赤居、なんでキサラの(けい)(やく)内容を俺に言わなかった?」


キサラとナツヒの会話の(がい)(よう)は坂城から聞いていた。

話題はある程度予想できていたはずだった。

しかし、ナツヒの瞳と声色から、予想していた以上の迫力を受け、思わず言葉を詰まらせてしまう。

その迫力に負けないように、赤居は静かに息を吐いた。


「ナツヒ様は、紅家で(やと)う人間には興味ないと考えていましたので」

「だが、キサラは仮にも俺の治療をする医者だろ」


その発言も(いち)()ある。

だが、赤居には赤居の考えがあった。

部下として、次期当主には自分の考えをきちんと伝える()()がある。


「これまでの医者には興味がなかったと坂城から聞いていました。それに、ナツヒ様の病状や治療に()(つか)えがあると思いまして……」

「彼女は違うだろ」


言いよどむ赤居の発言に(かぶ)せるナツヒの声色の深みが増す。

しかし、執事長をする赤居は、本家に()ぐ妖力の持ち主だ。

迫力に(おく)する訳にはいかない。


「ナツヒ様、円弧先生とこれまでの医者、何が違うのか、私にはわかりません」

「本当にわからないのか?」

「ナツヒ様が()(れい)の興味を示していらっしゃることは、坂城から聞いていますが」

「……それならいい」


迫力が収まる。

ナツヒは赤居を睨むのをやめて、ベッドに座り直す。


「他にキサラについて、(だま)っていることはあるか?」

「近々、当主さまとの夕食会が用意されています。その際にナツヒ様の病状について、円弧先生はお答えになるかと」

「わかった」


ナツヒの妖力が(じょ)(じょ)(おだ)やかになる。

赤居は音を立てないように、()()めていた息を吐く。

多分、ナツヒにはばれているだろうが、赤居なりのプライドだ。


「もう一つ、相談がある」


ナツヒは少し考えた後に、赤居にそう続けた。


「なんでしょう」


ナツヒの提案の内容を聞いた赤居は、大きく頷いた。

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