表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/64

「誰も戦わない土地」になった、小さな村々の変化 ―

名もない郵便配達夫の物語

ナジが通った道

―「誰も戦わない土地」になった、小さな村々の変化 ―

かつて:灰色の村々


ナジの通る山岳ルート沿いには、3つの村があった。


タルミ村:難民が流れ込み、資源を巡る緊張が続いていた


エッサ村:通信が遮断され、外部から忘れられていた


ノカ村:武装勢力の補給所とされていた時期もある


どこも、“戦争が起きても不思議ではない”と呼ばれていた。

実際、避難計画は数年前から放棄されていた。


それでもナジは、山を越え、ただ手紙を運び続けた。

どんなに警戒されても、銃を向けられても、ナジだけは撃たれなかった。


「あの人は、誰の味方でもない。だから撃っちゃいけない」

――村人たちの共通認識だった。


卦契約が起動した“無音の変化”


ナジが届けた37通の手紙のうち、9通は分断された家族を再び結びつけた。

それが契機となり、複数の“敵対関係”が個人レベルで崩れていった。


そして、魔法卦契約の「非武力行為による影響評価」が静かに発動。

結果としての“村の変化”

タルミ村:


→ 物資ルートに選定され、越境許可付きの国際支援通過地点へ


物資トラックが通れるよう道路が整備


国連との緩衝協定が結ばれ、“非武装ゾーン”に指定


村には“ナジ通信用ポスト”が設置され、子どもたちの文通交流が始まった


村の母親:


「戦争のニュースが流れても、“ここは大丈夫”って思えるようになった。

不思議よね、ただ手紙を届けてただけなのに」


エッサ村:


→ 契約構造による“情報遮断解除対象地域”に自動分類


魔法卦契約ネットワークの副波により、通信強化対象地域に追加


小学校に無料Wi-Fiと遠隔教育端末が届く


村の子どもたちが、ナジ宛てに「ありがとうレター」を書き始めた


小学校の先生:


「子どもが“戦争より手紙を送りたい”って言い出した日が、

私にとっての“終戦記念日”だったかもしれません」


ノカ村:


→ 元武装勢力の協定により、“物資保護村”へ転換


卒業した元少年兵たちが、ナジのために山道の休憩所を建設


村の長老たちが「もう武器はいらん。今は“安心”のほうが価値がある」と語る


村人の間で、“戦わない誓い”を刻む木札を配る文化が始まった


村の若者:


「武器を持ってた頃より、今のほうが“強い”気がする。

守りたい人ができたからかもしれない」


村に根づいた“ナジの道”


後に、各村をつなぐ山道は正式に名づけられる。


「ナジの信頼道ナジ・トレイル


それは舗装されず、看板もない、

ただ“誰も争わなかった土地”として記録された細道だった。


卦契約による恩恵が降り注ぎながらも、

ナジ自身は知らなかった。


今も、同じリュックを背負い、同じ山道を歩いている。

卦契約補文・第18条より


「無意識の行動が平和を導いたとき、構造は“基準そのもの”を変える」

「争いのなかった土地は、“抑止ではなく、信頼で守られていた”という証明になる」


最後に:未来へ続く道


ナジは今日も、「配達人」としてしか名乗らない。

だが、彼の通った道だけは、誰も戦わなかった。


その静かな記録は、今や多くの地で

**“戦わないことは、無力ではない”**という証明となっている。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ