黒い炎の兆し 〜 外部勢力の影 〜
外部勢力の台頭と本部の動き
■ 黒い炎の兆し 〜 外部勢力の影 〜
“講”の灯は広がっていた。
短期的な流行ではない。人々の深い内面に届き、暮らしの選択、言葉の意味、子育てや農作の方法さえ変えていくような、根の深い変革だった。
そして、それは一部の勢力にとって“脅威”となった。
■ 外部勢力:評議会連合〈カイロン〉
東方連邦の辺境に拠点を置く**〈カイロン評議会〉**は、形式上は“地方安定化のための自治支援機構”だった。
だが実態は、各地の政治的・宗教的空白地帯に独自の価値体系と規範を流し込み、間接支配を進める“文化制御組織”だった。
「《里山ダンジョン講》は、思想ではなく情報ウイルスである」
評議会の記録官は、内部文書にそう記していた。
彼らにとって、ショウたちの教義は“支配不能”だった。
善悪を断定しない
外部の神も崇拝しない
組織構造を透明化し、疑う自由を内包している
すなわち、それは“征服できない思考”だった。
■ 情報工作の始まり
まず最初に、各地で講の活動を“混乱の元凶”として描く流言がばらまかれた。
「子供たちに“道徳観を壊す教え”を植えつけている」
「古き良き共同体を解体し、家族制度を崩す思想だ」
「火の教祖はすでに狂気に堕ち、村人を洗脳している」
中には、講の名を騙る偽集団が暴徒化する事件まで仕組まれた。
拡散された映像は巧妙に編集され、「反社会的運動」のように見せかけられた。
本拠地にも風が吹き始める。
■ 本拠地・応答学館:外部介入の予兆
ある晩、学館の通信室に一通の“偽装された協議書”が届く。差出人は、未知の連邦使節団。
ショウは一目で偽物と見抜いた。
「この手口……評議会〈カイロン〉の型だな」
教主・神楽が眉をひそめる。
「対話のふりをして内部から揺らそうとしている。意見分裂を引き起こす気です」
その日から、本拠地内の防備と心理的対話訓練が強化された。
■ 暗殺未遂と火の暴走
そして決定的な事件が起きる。
“火の使徒”を名乗る男が、学館の公開講義中に自作の小型爆装置を持ち込み、教主・山本の命を狙ったのだ。
爆発は未遂に終わったが、これにより“火”の象徴であるショウの影響力が一気に問われ始める。
本拠地内でも動揺が走る。
「“火”が暴走を生むのではないか」
「ショウの教義は、人の理性より炎を優先しているのではないか」
しかし、ショウは一歩も引かなかった。
■ ショウの言葉:火は逃げない
翌朝、全村民を前にショウはこう言った。
「火を見て、恐れてもいい。だが、“観る”のをやめるな。
火を理由に教えを壊すなら、それは恐怖に負けたということだ」
「我々が観測し続ける限り、“敵”も“誤解”も、対象であって化け物にはならない」
「俺は動かない。ここが観察の中心だ。来るなら、見せてやろう。“疑わない思想”とは何かをな」
この言葉が、再び本拠地の芯を固めた。
■ 次の一手:観測を可視化する
ショウはすぐさま、次の策を打った。
**「教義可視化プロジェクト」**の開始:全講義・意思決定・会議記録を外部に公開する
「講を観察する講」:講そのものを分析・評価する独立組織を設立
観察者との連携強化:外部観測者と共に“思想の免疫力”に関する共同研究を発表
これらの動きにより、講は単なる信仰ではなく、「透明で進化する構造体」であることを示した。
■ 外部勢力の本格的な侵攻の予兆
しかし、カイロン評議会も黙ってはいなかった。
密かに、周辺の自治体・古宗派・連邦警備隊を動かし、「精神操作疑惑」による正式調査団の派遣を決定。
次のターゲットは、“講そのものの合法性”の否定だった。
■ 最後に、ショウの独白
その夜、ショウは机に向かってこう書き残していた。
火は照らすことをやめたとき、恐怖になる。
燃えすぎたときではない。
“見ることをやめたとき”だ。
だから俺たちは見続ける。
敵の目も、味方の盲信も、すべて。
火は、静かに、ここにある。




