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燃えるような意志の起点 〜里山ダンジョン講 創設記〜

探す、調べる、考える、本当に大事ですよね

燃えるような意志の起点 〜里山ダンジョン講 創設記〜


ショウは焚き火の前に一人で立っていた。


木々の香り、地熱のぬくもり、そして夜の冷気。そのすべてが、彼の中にある「確信」を強めていく。


「今だ。この時代、この場所だからこそ、俺たちは立てる」


村の人々が目覚め始めた今。技術、教育、そして精神性。すべてが揃い始めた今——ショウは、単なる開拓者や教育者ではなく、「文明そのものの設計者」として自分の立場を自覚していた。


そして、ある種の“熱”を帯びた構想が生まれる。


それが《里山ダンジョン講》の始まりだった。

里山ダンジョン講:思想の骨格


講とはいえ、それは宗教とも思想運動ともつかない、奇妙な構造をしていた。


だが、内部でははっきりしていた。


教祖はショウ。

教主(実務の統括)は山本、神楽。


彼らは、「信じるものを決める団体」ではなく、「見る・調べる・考える力を育てる集団」を創ろうとしていた。


教義はたったこれだけ。

《教義》


あるがままを見る


あるがままを探す


あるがままを調べる


あるがままを考える


善悪中毒に陥らない


人生のウイルスバスターであれ


ショウの言葉は明快だった。


「教義は“学ぶことを諦めるな”ってことだ。善人でも悪人でもない、“考える人間”を育てる。判断を固定するな。探し続けろ」


この思想は、特定の神や救済を必要としなかった。


むしろ、人生の不安や不満を「誰かが何とかしてくれる」という幻想から自由になるための道として提示された。


神ではなく“知の姿勢”を拝む宗教。


それが《里山ダンジョン講》だった。

教主・山本と神楽の始動


ショウは現場から離れられなかった。経済・教育・技術の全てを回していたからだ。そこで、講の運営を託す代理人として選ばれたのが、山本と神楽だった。


山本は元職人で、言葉少なだが誠実。考える前に動く、実行型の人物。

神楽は若くして数理と言語に優れ、外部観測者との記録管理を担っていた。


この二人が並び立ち、「見る・考える・調べる」を現場に浸透させていった。


毎朝、講の拠点では「観察の時間」がある。


全員が言葉を交わさず、自然や人々を静かに観察し、そこから「見えたこと」「気づいたこと」を記録し合う。


善も悪もない。

ただ、そこにあるものを捉える。


その訓練を、子どもから老人までが日課として行うようになった。

宗教が“弱いうちに”


ショウには明確な戦略があった。


「この思想が“宗教らしく”なりすぎたら、逆に終わる」


だからこそ、まだ講が“柔らかく、形を持たないうちに”行動を起こす必要があった。


・他の村にも分室を設置

・自然観察と知識探究をセットにした巡回塾

・「一日一問」の思考習慣を広める冊子の配布

・農民、職人、商人、兵士など階層を問わず“問いを持つ力”を育てる講義


この一連の活動は、まるで“宗教のかたちをした思想ネットワーク”だった。


ショウは言った。


「宗教が人を縛るなら、それはただの枷だ。

でも、宗教が人に“観る力”をくれるなら、それは光だ」

周辺地域を“助ける”という意志


ショウは視野を広く持っていた。


「この村だけ救っても意味がない。周辺の村が無知と恐れに支配されてたら、いずれ我々も巻き込まれる」


彼は、講を拠点に“知と意志の火種”を周辺に分け与えていく作戦を展開した。


宗教と呼ぶには無神論的で、

思想と呼ぶには情熱的すぎる。


この奇妙なムーブメントは、やがて周囲の村でも話題になり、やがて——抵抗と対話の連続の中で、じわじわと根を下ろしていくことになる。


その中心にはいつも、ショウの燃えるような意志があった。


「人間は“知りたい”と思う限り、自由だ。

その自由を守るのが、俺の仕事だ」


講は道であり、灯火であり、盾でもあった。


この運動が、やがて外部観測者との本格的な共進化の足場になることを——

ショウはすでに確信していた。

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