表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/64

村祭り「土返しの宴」と「見る部屋」

■ 村祭り「土返しの宴」


祭りの日。村の中心広場には屋台が立ち並び、子どもたちが走り回る。

鍛冶場では鉄の飾りが火花を散らし、農民たちは今年最初の収穫を並べていた。


火除けと学館の若者たちは、全力で働いていた。


ナギは舞台設営を手伝いながら、板を担ぎつつ、力仕事に汗を流していた。

サノは剣舞を教え、元兵士の少年たちが村の広場で見事な型を披露する。

ショウは「見る屋台」と称して、ダンジョン産の“動く石”や“色の変わる布”を展示し、子どもたちに「何が見えるか?」と問いかけていた。


村人たちは最初こそ距離を取っていたが、徐々に顔をほころばせていく。


「ほら見ろ、ちゃんとやるじゃねぇか。畑の手伝いも、礼儀も、悪くないぞ」

「こっちの若い衆より気ぃ利くかもな!」

「学館の娘、飴細工うまいな~。あれ、勉強で学べるのか?」


そして夜、焚き火を囲む時間。

老いも若きも輪になって、異物屋たちと酒を酌み交わす。


ヨウジがぽつりと漏らす。


「“学び”っつーのは、文字や図面だけじゃねぇな。目の前の人間を、まっすぐ見ることだ」

■ 翌日・応答学館・「見る部屋」


ナギが長年持ち歩いてきた“言葉の板”が、学館の研究者たちにより、少しずつ読み解かれ始めていた。


彫られた文字は、村の地下深く、かつて“天空の門”と呼ばれていた建造物に使われていたものと一致していた。


ショウが板を指しながら読み上げる。


「『言葉は記憶。記憶は道。道を閉じれば、世界は盲目になる』……」


サノが呟く。


「これ、“言葉”が禁じられた理由、あるんじゃねえか?

 世界を“見えないようにする”ために、誰かが意図的に隠したんだ」


ナギは板を撫でながら言う。


「私の村では、子が話す前に、板を見せられる。そしてこう言われる。

 “これは見てはならぬ”。理由は、誰も知らない。ただ、そうされてきた」


そのとき、学館の老学者が顔を上げた。


「……この文様、もう一枚あれば“道”の先が分かる。

 つまりこの板は、二枚一組の地図なんだ。半分の記憶だけでは、“門”は開かない」


ショウとサノが顔を見合わせる。


「じゃあ……もう半分はどこにある?」


ナギは黙って、小さく呟いた。


「――もうひとつは、あの村の地下。……けど、行ったら殺される」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ