新しい流れの始まり
これから書かれていないが順次専門学校が設立されていきます
■ 応答学館 ――開校初日
村の中央、古い倉庫を改装した校舎に朝の鐘が鳴り響いた。
建物は石と木で構成されており、壁には異物屋がダンジョンから持ち帰った部品が飾られている。
それぞれの部屋には名前がついていた。
*「見る部屋」:観察と記録を行う教室
*「聞く部屋」:対話と思考の授業
*「繋ぐ部屋」:剣術や農具の修理を通じて身体と技を教える実習室
■ 午前:観察の授業(講師:ショウ)
「これは“動く石”だ。ダンジョンから取ってきた。見るだけでいい。触れるな」
子どもたちは石を囲み、観察する。
石はじわりと色を変え、時折微かに震える。
「さて、何を感じた? 形じゃない。色でもない。“違和感”を言葉にしてみろ」
ある少女が手を挙げる。
「なんか……見られてる感じがしました」
ショウは微笑む。
「正解はない。でも“見る”ってのは、目の前の物を通じて、自分を見ることなんだ」
■ 昼:職人と学ぶ実技(講師:火除けメンバー)
「これが算盤だ!力じゃなくてリズムだ。1と2を指先で跳ね返すみてえに――そう、そう!」
元・火除けの一人は、村で販売した高級算盤を教材に、計算と記録の仕方を教えていた。
生徒の中には元兵士もいれば、商売人の見習いもいる。
「ただの珠じゃねえぞ。こいつらが動くってことは、村の未来が動くってことだ」
笑いながらも、目は本気だった。
■ 夕方:全体対話(講師:ショウ+村の賢人)
「今日、何を“見て”、何を“考えた”か」
全員が円座に座り、それぞれが今日の体験を話す。
自分の感覚、他人の気づき、正しさでなく、違いを確認し合う。
ある年配の農民が言った。
「若い頃、刃物でしか物事を切り分けられなかった。でも、今日気づいたんだ。
見るって、斬るより深ぇんだな」
静かにうなずく若者たち。
ショウは言った。
「“あるがままを見る”ってのは、つまり、何も切らずに向き合うってことなんだよ」
■ 夜:宿にて
ショウとサノは宿の一室で、今日の記録をまとめていた。
「なあ……学校ってのは教えるだけじゃなくて、こっちも問われる場なんだな」
「教えるってのは、目線を合わせるってことだからな。教える側の器量が試される」
「火除けの連中、みんなちゃんと“目”を使ってる。前よりずっと」
「いい流れだ。だけど……そろそろ“外”も動く」
ショウはふと、机の上の“神”の球体記録装置を見やる。
「“見る”ってのは、未来のためにあるんだろうな」




