表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/64

休息からの新たな始まり

■ 宿屋「流れ星亭」・深夜


村に戻った彼らは、村外れの古い石造りの宿屋に腰を落ち着けていた。


部屋に灯された柔らかな油灯の明かりが、木の机に並べられた干し肉や温かい野菜スープを照らす。

背中を壁に預けて、火除けたちは湯気の立つマグを片手に、黙ってそれぞれの時間を味わっていた。


「……あの神、“あれ”は人に近かったな」


「怖さもあったが、それ以上に、なんつーか、寂しさがあった」


「俺たち、あいつの願いの続きをやってんのかもな。『見る目』ってやつでさ」


沈黙のあと、ショウが言った。


「このままじゃ足りない。俺たちだけじゃ、見えてることも伝えきれない。だから――」

■ 翌朝・村長屋敷・特別会議室


村長、賢人会議館の代表、火除けの面々が集まる中、ショウは提案を出した。


「教育の場を作りたい。名前は“専門教習舎”でも“応答学館”でもいい。

 見る力、考える力を育てたい。村の者だけでなく、旅人、外の者も受け入れたい」


サノも言葉を続けた。


「剣を教えるのも、書を読むのも、同じ“技”だ。

 俺たちが変われたのは、見方を変えたからだ。その目を次に渡すべきだと思う」


反対はなかった。

むしろ、すでに一部の村人たちは「異物屋の考え方」を教えてくれと集まり始めていたのだ。


こうして村は、知識と感覚を磨く学びの村へと動き出すことになる。

■ 同時刻・村の外れ・観測塔跡地


その頃、村から離れた丘の上、放棄された古い観測塔に奇妙な人影が集まっていた。


黒いローブ、仮面をつけた数人の男女。

だがその手には古い計器、天文図、そして“ダンジョンの記録”が握られていた。


「……奴ら、とうとう“神域”に触れたか」


「早すぎる。火除けは武を捨て、学を取った。旧き均衡が崩れる」


「いや、今度こそ“彼ら”に接触できるかもしれん。次は我々が、動く番だ」


男の仮面の奥の目が、静かに笑った。


「ようやく、“地上の交渉者”にふさわしい相手が現れたな」


その背後、夜空に浮かぶ星の一つが、不自然に明るく瞬いた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ