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ダンジョン第七層 ――“静語の回廊”~神と思われる存在と出会う

ダンジョン内の不思議な仕掛け

火除けたちの反応や成長

神を名乗る宇宙人(正体は遥かな先行文明人)との出会い

■ ダンジョン第七層 ――“静語の回廊”


足を踏み入れた瞬間、空気が変わった。音が消えたのだ。


話そうとしても声が出ない。靴音も衣擦れも、まるで水中にいるかのように無音だった。

回廊は銀色に輝く金属と、半透明のガラスで構成されていた。壁には無数の文字が浮かび、ゆっくりと流れていく。


「……!」


サノは口を動かし、周囲を指差した。だがショウは指で「待て」のサインを出す。


数取り機に反応がある。文字は生きている――いや、意思を持って動いている。


数分後、全員の視界に同時に浮かび上がったのは、透明な立体文字。


「語るな、視よ」


一人が文字に触れた瞬間、脳裏に過去の記憶がフラッシュのように流れた。戦、炎、争い、そして静寂。

彼は膝をつき、額を押さえた。


ショウが言った。


「ここでは、言葉じゃなく、“内面”で会話するしかない。見ること、感じること。それしか通用しないんだ」


火除けの一人が、ゆっくりと目を閉じて壁に手を当てる。


──その瞬間、壁が開いた。

■ 火除けの変化


彼らはひとつ、仕掛けを“見る目”で解いた。


「力じゃない……目で見て、心で聞いて、動く。それが“技術”ってやつか」


「俺たちは、“斬る”しか知らなかった。でもこれは……別の戦い方だな」


ショウは言う。


「これを“反動”じゃなく、“応答”って呼んでる。異物との対話って意味でな」


火除けの男たちは、肩の力を抜き、静かに笑った。

■ “神”との邂逅


その回廊を抜けた先は、天井のない大空間だった。空では星が瞬き、床は鏡のように反射していた。


中央には、宙に浮く黒い球体。その前に現れた“それ”は、人に似た姿をしていたが、動きは重力に縛られていなかった。


「汝ら、我を神と呼ぶか?」


声ではない。直接脳に響く“思考”だった。


火除けの一人が、無意識に剣に手を伸ばしかける。だが、サノがその腕を止める。


「待て。……見るんだ、まずは」


“神”と名乗る存在は、ゆっくりと姿を変えた。幼い子、老いた学者、動物、光の球体――


「我は形を持たず。時の彼方より、観測と記録を続けるものなり」


ショウは問いかけた。


「なぜダンジョンを? なぜここに“力”や“知識”を残した?」


返ってきたのは、どこか寂しげな言葉。


「後に来る者が、同じ過ちを繰り返さぬよう。“力”に触れる時、“見る目”を持っているかを試すため」


「つまり……俺たちを“見る者”に育てようとしてるってことか?」


「もし、見る目を持たずに進むなら、全ては崩壊する。力とはそういうものだ」


火除けの男たちは、静かに頷いた。


今ならわかる。力を恐れていたのではなく、“見ずに触れる”ことの危うさを、彼らは本能で感じていたのだ。

■ 帰還前の一言


ダンジョンからの帰り道、サノはぽつりと言った。


「……お前の言ってた“あるがままを見る”ってのは、世界と話す方法だったんだな」


「そして、それができれば、戦わずに済むことも増える」


サノは笑い、言った。


「なら、明日も見るか。“一日一善”とやらも続けながらな」


ショウは肩をすくめた。


「やるじゃん、火除け」


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