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ご褒美

「それより、畑葉さんが見せたかったのってこれでしょ?」


「そう!!これ!」


そう言いながらまたもやカメラではなくスマホで写真撮る。


畑葉さんははしゃぎながら氷の上でジャンプしていた。


さっき氷のせいで転んだのを忘れてしまったのだろうか。


万が一を考えて僕の手は畑葉さんの手にあった。


「琥珀みたいで綺麗でしょ!」


そう誇らしげに言う畑葉さん。


僕の手に気づいていないのだろうか。


なんだか少し悲しい。


「こっちは秋の化石で〜!!」


秋の化石...


いいなぁ、その表現。


さっきの秋の琥珀も好き。


植物が枯れる冬だからこそ秋の化石は通じるモノ。


だけどこの琥珀は無理やりやれば自分たちでも作れるかもしれない四季の琥珀。


でも、


きっと、


自然で作られるからこそ綺麗なのかもしれない。


「それよりよくここが分かったね...!」


それは僕もそう思う。


「何となく歩いてたらこれかな〜って思って」


そう言うと


「本当に寝ちゃってごめんね...?」


とまたもや謝ってくる。


「気にしなくてもいいのに」


畑葉さんって変なところで頑固だ。


「これ見て思い出したけど私『琥珀糖』食べてみたいんだよね〜」


また食べ物の話...


でも幸せそうに話してる畑葉さんが見れるなら正直どうでもいい。


心の中では畑葉さんのことでいっぱいいっぱいなのに口には出せないのがとても辛い。


僕はいつでも畑葉さんのことばっか考えているというのに。


なぜ僕は前に畑葉さんが言った『好きにならないで』なんて言葉を真に受けてしまっているのだろうか。


「琥珀糖って前行った駄菓子屋に売ってなかった?」


「え?売ってたの?!」


「うん」


「え〜...買えば良かった......」


あ、その顔も好き。


口を尖らせた顔。


畑葉さんがよくする顔。


でもたまにする切なそうな顔。


あれは嫌い。


大嫌い。


いや、言い過ぎだろうか。


何が原因で畑葉さんを傷つけているのか分からないから。


それにそれを聞けない自分自身を許せないと思ってしまうから。


「また一緒に行った時に買おっか」


そう僕が言うと畑葉さんは満面の笑みをしながら


「うん!!」


と言う。


この顔が1番好き。


お気に入りだ。


満面の笑顔。




「あ、古佐くん古佐くん」


そう言いながら畑葉さんは僕の服の裾を引っ張る。


なんで今日、こんなに畑葉さんが可愛く見えるのだろうか。


いや、普段も可愛いのだが。


冬の寒さで頭が凍りついているのか?


いつもより畑葉さんが愛おしく見えてしまう。


「何?」


「古佐くんのね、背中、居心地良かったよ!!」


耳打ちでそんなことを言ってくる。


「...うん」


少し間を開けてから返事する。


畑葉さんはきっと僕の恋心クラッシャーだと思う。


てかこんなことするなら僕のこと好きなのだろうか?


毎度毎度そんな勘違いをしてしまいそうになる。


きっと畑葉さんは僕を好きだと思っていないと思う。


恋愛的に。


きっと畑葉さんは僕を " 友達 " として見ているに違いない。


そう何回も心に刻む。


これで傷つくのは僕だけで済むのだから。


「あ、古佐くん!クリスマス一緒に過ごそうね!!」


「あとプレゼント交換もしたいな〜なんて...」


「ダメ...かな、?」


急な上目遣いで体の温度が一気に上がる。


まるで沸騰するくらいに。


僕の周りの雪が全て溶けてしまいそうなくらいに。


今日おかしいのはきっと畑葉さんじゃなくて僕に違いない。


日が経つごとに心が畑葉さんを欲しがっている。


「...ダメじゃないよ」


そう言うと


「じゃあ約束ね!!」


と言いながら僕の小指に畑葉さんの小指が絡む。


少し小さくて可愛い手が。


冬の寒さで冷たい手が。


今僕に触れている。


そんな嬉しさの声が心に響く。


それを打ち消そうと思い、悶々としていると


「古佐くん?!何して──」


何故か僕は畑葉さんの頭を撫でていた。


「ごめん!!」


慌てて離れる。


もしかしてもう手遅れ?


無意識に畑葉さんに触れてしまうなんて...


相当重症だ。


「古佐くん古佐くん、これ見て!!」


後ろから呼ばれ


「何──」


と言いながら振り返る。


と、畑葉さんの唇が僕の唇に触れる。


「_________!?」


声にならない声を上げながら素早く離れる。


「ふふっ、反応可愛い〜!!」


また悪ふざけだろうか。


だとしてもこれは本当に悪すぎる。


「ご褒美!」


少し僕に近づき、


笑みを向けながらそんなことを言う。


ご褒美?


何へのご褒美だろうか。


というか本当にこれをされて好きにならないなんて


「無理でしょ...」


髪を顔に寄せ集める。


なんの意味も無いが、


とりあえず真っ赤であろう僕の顔を隠したかった。


「なんか言った〜?」


遠くから畑葉さんの声が聞こえる。


「何でもない...!!」


そう強めに返すと『なんかお腹空いたな〜』なんて言ってる。


流石に不意打ちはやめて欲しい。


それはそうと僕の心はいつまで耐え切れるのだろうか。








「古佐くん!!たい焼き屋さんあるよ!!」


畑葉さんのお腹の虫の音がすごい騒いでいる。


じっとお腹を見ていると


「お腹空いたんだからしょうがないでしょ」


と言いながらまた口を尖らす。


いつもいつも思うが、


なんでそんな平然なのだろうか。


もしかして畑葉さんはあれが普通とか...?


いや流石にないか...

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