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雪食べる!!美味しい!!やめてくれ...

休日の朝に玄関のチャイム音が何度も響く。


それに加えて声も。


「古佐く〜ん!!」


「寝てるの〜?」


「開けてー!!」


と扉をドンドンと叩きながら。


普通に近所迷惑だからやめて欲しい。


それよりも家族が出かけてて良かった。


これで怒られるのは僕なんだから。




「何...」


玄関の扉を開けると冬姿の畑葉さんが立っていた。


白い息を吐きながら。


冬姿の畑葉さん。


可愛い...


そう思っていると


「遊ぼ!!」


と言ってくる。


畑葉さんの声と同時に冬の寒さが家に侵入しながら。


というかこんな寒いところに畑葉さんを放っておいたってこと?


最悪な奴だ僕は...


「遊ぶって...?」


「そりゃあ冬の遊びに決まってるでしょ!!」


そう言いながらジャジャーンという効果音が着くように死角に隠してあったソリやら雪玉製造機やらを見せびらかしてくる。


「...寒いから嫌だ」


そう言って畑葉さんの目の前で扉を閉める。


我ながら酷いことをしたと自覚はあるが、


あいにく僕は寒いのが大の苦手だ。


しかし僕は1つ、忘れていたことがある。


「古佐く〜ん!!どこまでも追いかけるよ〜?」


と僕をビビらすようなおどろおどろしい声を出しながら家の中に入ってくる。


そう。


畑葉さんは僕の家の合鍵を持っているということ。


最悪だ。


家という唯一の逃げ場が...






「ねぇ...それやめない......?」


結局無理やり外に出された僕は畑葉さんと一緒にいつもの丘。


桜の木が生えてる丘へと向かう。


昨日雪が降ったばっかなのにもう積もってるなんて。


恐ろしい。


ていうか冬に木の近くって危ないんじゃなかったっけ?


確か雪が深くなるだとか...


そんなことを思っていると畑葉さんが視界にチラつく。


何してるんだと思い、


畑葉さんに焦点を当てると氷を踵で割っている姿があった。


「聞いてる?」


「うん、聞いてるよ〜!!」


絶対聞いてないと思う。


だって明らかに楽しそうな顔しちゃってるし。


「古佐くんもやりなよ!!」


ほら聞いてないじゃん。


「嫌だよ」


「なんで?」


「なんか悪事みたいじゃん...」


「悪事じゃないし!!」


いやそうかもだけど...


そう思いながら歩いてきた道を振り返る。


畑葉さんによって壊されてきた凍った水溜まり。


ガラスのような破片があちこちに散らばっている。






「...楽しい?これ」


「うん!」


そう僕の問いに返しながら畑葉さんは黙々と雪玉を作っていく。


これの何が楽しいのだろうか。


しかも雪合戦で使う用とかだと思いきや違う。


雪玉は作った後、潰される。


しかも同じ場所で。


そう。


雪玉を潰してできたタワー。


なんの意味も無いタワー。


が完成する。


「あ!古佐くん!!大変!!」


「何?」


「雪だるま作らないと!!」


そう言って僕に雪玉を渡してくる。


もしかして僕に片方を作れということだろうか。


そう思いながら雪玉を転がす。


手のひらサイズの雪玉を。






全然大きくならない...!!


そう思ってるのも束の間、


大きくなった雪玉を転がす畑葉さんがこっちへと向かってくる。


「古佐くん出来た〜?」


地鳴りがしそうなほど大きな雪玉。


いや、雪の塊。


同じ条件で作ったとは思えないほどに。


「いや...」


『まだ』『もう少し待って』そう答えようとしたら転がしていた雪玉を奪われた。


そしてあっという間に僕の雪玉が子供から大人の姿に。


「見て!!」


ちょっと瞬きしただけでその雪の塊が雪だるまの姿へ変わった。


ほんの一瞬目を瞑っただけで、


どうやってこの大きな雪玉を持ち上げたのだろうか。




「ねぇ、何してんの?」


急に静かになったと思ったら、


何やら跡も何も無い表面の雪だけを集め始めた。


そして口の中へ───


「ストーップ!!」


口の中へ入れる前に僕が雪を叩き落とす。


すると


「ちょっと!!何すんの!!」


と畑葉さんが怒る。


そう言いたいのはこっちなのだが。


「今、雪食べようとした...?」


「そうだけど?美味しそうじゃん」


「いや、ダメだよ」


「汚いし」


「汚くないよ!!古佐くんは食べたことないの?」


「いや...」


今は無いけど子供の頃は全然ある。


「じゃあいいじゃん!!」


「私食べたことないし...」


「どんな味が知りたいじゃん...」


口を尖らせながらそんなことを言う。


「美味しくないよ」


そう僕が言ったが、もう遅い。


畑葉さんが抱えていた雪は畑葉さんの口の中へ。


いや、食べるというよりも浴びるという表現が正しいだろうか。


とりあえず顔面に雪をかけていた。


「冷たい〜!!」


そりゃあそうだ。


「でも美味しい...!」


それは無いと思うが...


「もうちょっとだけ...」


そう言って畑葉さんはまたもや雪を食べようとする。


これ以上は流石に体に良くない。


そう思った僕は畑葉さんの手を止めた。


つもりが勢い余って押し倒してしまった。


「わっ...!!」


2人して雪に少し埋まる。


前と逆パターン。


畑葉さんが下で僕が上で。


しかも犯人は僕で。


「ごめん!!大丈夫?怪我してない?」


恥ずかしさを捨てて声をかける。


それよりも心配が勝ったからだ。


慌てて離れるも


「雪がふわふわで良かった!!」


と何一つ気にもしていないようだった。


それはそれで悲しい。


が、畑葉さんの顔についていた雪が何やら水に変わっていたようだった。

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