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第6章 頼み

夕暮れ時、太陽が沈みかけ、楊介は中央のシンドラ通りを歩いていた。そこは灰色がかった狭い道だった。楊介は淡々とした表情で道を進んでいたが、その時、茶色の防風コートを身にまとった一群の凶悪そうな男たちが目に入った。


「銀色の髪の少年を見なかったか?古びたコートを着ているはずだ!」その男たちの一人が楊介を睨みつけ、凄むように言った。


楊介は視線を逸らさずに、男の一人を目の端で観察した。彼の肌は焼けた大地のような深みのあるオリーブ色で、自然な健康美を感じさせる。顔立ちはくっきりとしており、鼻筋は高く、どこか誇り高い印象を与えていた。


彼らはフェラニック人だった。フェラニックは高地がそびえ、深い峡谷と険しい道が入り組んだ国である。政権の圧政が人々の尊厳を踏みにじり、フェラニック人は故郷を離れることを余儀なくされた。


彼らはフォロニカ国にやってきた。労働者でありながら、同時に流亡者でもある。新しい生活への希望を胸に抱き、フェラニックの地に対する記憶と重い過去を背負っていた。


楊介は落ち着いた様子で言った。


「見ていないね。」


茶色のコートを着たリーダーはわずかにうなずき、数人の仲間を連れて前方へ急いで走り去った。周囲の通行人の視線を全く気にしていない様子だった。


その時、楊介は道端の一角に、彼らが探していた少年の姿が見え隠れしていることに気付いた。少年の顔立ちはまだ幼く、目鼻立ちがはっきりしており、真紅の瞳は沈着でありながら、少年特有の活力と奔放さを漂わせていた。彼は一枚の紙幣を、姿を隠してくれた店主に手渡し、円い帽子で目立つ銀髪を覆い、ボロボロのショルダーバッグを背負っていた。どうやら彼はうまく追跡者たちを巻き、姿を現したようだ。


「ただ者じゃないな…」


楊介は彼の手際の良さと慎重さに感心しながら考えた。この辺りを漂う孤児なのだろうか…?あるいは、人混みの中で誰かから何かを盗んだのだろうか?そのバッグも彼らから奪ったものなのか?


楊介が考えながらふと瞬きをすると、少年の姿は突然消えて無くなっていた。


その後の道のりは穏やかで平穏だった。約二十分後、楊介は自分のアパートに戻った。




####




アパートに戻った楊介は、自分の部屋で簡単に身支度を整え、立ち上がって大家さんのベルを鳴らした。


「クックー!クックー!」


部屋の中に響くベルの音とともに、ドアの上から見た目があまり良くないコウモリが現れた。それは手のひらほどの大きさで、口からカッコウのような音を発していた。


数十秒後、暗い色のドアが開かれ、リアが姿を現した。普段とは違い、彼女は黒い長袖とゆったりした黒いパンツを着ていた。これがリアの普段着らしい。彼女は楊介を見下ろして言った。


「おや、遅かったね。何かご用ですか?」


ドアが開くと同時に、私は早速本題に入った。


「お願いしたいことがあります。」


「お願い?」


「はい、あなたたちに戦い方を教えてもらいたいんです。冒険者に登録したばかりなのですが、戦闘の技術がよくわかりません。」


「あぁ、そうね。確かに、冒険者になりたてだと異能を使う機会はないでしょうね。」


楊介は礼儀正しく頷き、それに続けてリアが話した。


「そうですね、剣の振り方を教えてほしいの?田舎で剣術を学んだことがあるのかい?」


「父から基本的な剣の振り方は学びましたが……狩りをするための剣術だけです。」


「そうか……それじゃあ、後で時間があるかい?もし空いているなら、私について来なさい。ついでに魔法の使い方も教えてあげるわ。」


「本当ですか?ありがとうございます。本当に助かります。」


魔法?ここで魔法を学ぶことができるなんて思いませんでした。でも……今のところ、私の魔力は0だから、魔法を発動できるかどうかはわかりませんが。


楊介はリアに従ってモンビアの裏山へ向かった。山壁の近くには広々とした空き地があり、そこには高低さまざまな木製の杭が地面にしっかりと打ち込まれていた。



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