1話 弱気な出会い
教室が夕日に照らされている。澄んだ風がクリーム色のカーテンをなびかせる。
誰もいないと思っていた教室に1人の男子生徒がいた。私は教室の後の扉辺りで足をキュッと止めた。
彼は1番窓側の1番後の席に突っ伏してねていた。
私の方に顔を向けて寝ていたので目は瞑っていたがその顔は整っていることが十分わかった。
唇は薄く、まつ毛が長く、鼻筋が通っていてツンとしたまさに理想の鼻。
そんな彼が何だか儚かった。ここに来ることはあまりないからあと、もうちょっと…といつまでも彼を見ていた。
風が吹くたびに彼の髪の毛が少し浮く。その場で感じた風はいつもより私の心を少し落ち着かせてくれた気がした。
カーテンが風でなびいて彼の頭から肩までを覆った。
その時、彼が机の上にある青色の筆箱を残して消えてしまいそうと本気で思った。
だから私は「あっ」と自然に声が出てしまった。ちっちゃい声で言ったつもりだったけど結構大きかったのかも。
彼はびっくりして椅子をガタッと鳴らし、顔は至って冷静ですと目をゆっくり開けた。
私は見つからないように逃げようかと思ったけど間に合わなかった。
そして仕方なく私は、逃げようとしていた体と顔を教室の方に向けて
「ご、ごめんなさい。お昼寝の邪魔しちゃって…」
「あ、俺寝てたのか。別にいいよ。…ていうかその制服何?」
私はこの学校の生徒じゃない。
「ごめんなさいぃ…こ、この学校の生徒じゃない人は来ちゃダメなのに…ぐすっ…」
「えっ、ちょ何????泣かないでよ。別に俺そういうの気にしないし…」
「か、帰ります…」
「さよならー」
何泣いてんだろ私…泣き顔見られたくない…顔洗お
キュッキュッ
洗面台の前の鏡で笑顔を沢山並べた。
「あーずさっ!」
「ひっっ」
「怯えすぎw」
「な、なんだ、純恋か!びっくりした…」
「探したんだよ!もう用はないからさっ帰ろう!」
「うん!」
今日は友達の純恋の忘れ物を取りに行く付き添いをしてた。なんで私なんだろ。私はこの学校じゃないから先生に怒られるか不安だった。だから私はあの時知らない人の前で泣いてしまった。
純恋になんで私を誘ったのか聞いたら友達がいないからという親近感を覚えることを言った。私も純恋と同じで友達がいない。だから学校が楽しくないし毎日憂鬱。純恋と同じ高校だったらな…