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第795話 援軍到着!?

795


「俺と黒騎士の二人が相手なのに、根来さんは強いなあ」

「だが、建速さんと合流したことで三人だ。この距離なら倒せる」


 額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太いずもとうたが賞賛し、漆黒のフルプレートアーマーを身につけた黒騎士が〝この距離なら〟と評したのも無理はない。

 異世界クマ国で百万人を殺傷したテロリスト団体、〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟にやとわれた傭兵、根来志津梅ねごろしづめ

 彼女が習得した、異世界クマ国の神代から伝わる戦闘術〝古神流こしんりゅう〟が、一対多数に長けた武術という評判には一切の偽りがなかった。

 彼女は三丁の連発式銃を自在にあやつり、桃太と黒騎士を足止めしながら、鉄線と拳銃で紗雨と互角に戦うという離れ技を披露していた。

 されど、志津梅が紗雨との映画を巡る論戦、ついで白兵戦に熱くなったことで、跳弾や反射を利用した特殊な銃撃がままならなくなり、桃太と黒騎士の接近を許してしまったのだ。


「我流・長巻ながまき!」


 桃太が右腕に巻き付けた衝撃刃で、志津梅を斬りつけるも――。


「距離は拳銃の方が長いっ」


 志津梅が背負う葛籠の中から伸びた人形の腕が拳銃で迎撃。


「シャークヘッドアタック!」


 紗雨が桃太の衝撃刃に水を巻きつけてサメ顔の巨大刃を作って、銃弾を破壊――。


「ならば鉄線と銃弾で結界をつくる」


 ならばと、志津梅が連発式ライフルから反射弾を放ちつつ、鋭いワイヤーロープを四方に投げてシャークヘッドごと二人を閉じ込めようとする――。

 

「させん、電撃網で追撃だ!」


 が、黒騎士が肩パーツからバチバチと輝く網を放出し、グチャグチャになったイヤホンのごとく、鉄線にからみつかせて無力化した。


「……やれやれ、劣勢ですね。とはいえ、雇い主とその同志はほぼ撤退ずみ。契約も義理も果たした以上、〝アタシ達〟もここで引き上げます。でも、黒騎士さん達は、良いんですか? 今の状況は、三つ巴。〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の穏健派が退いても、過激派がまだ残っていますよ」


 そう。紗雨ばかりでなく、桃太と黒騎士までが防衛対象であったジュシュン村を離れたことで、毒を使って誰彼構わずに無理心中を目論む過激派がフリーハンドとなってしまった。


「よし、今のうちに毒をバラまいてやる」

「一人でも多く道連れにしてやる」


 周囲を巻き込む自殺にいったいなんの意味があるのかわからないが、このままでは村で応戦しているレジスタンスメンバーや、地霊将軍ダンキンら捕虜の身が危ない。

 ……と、思われたが?

 

「ああ、そっちは心配ない。元からこの戦いは持久戦だった」

「黒騎士、昨日から何度も今日の昼には援軍が到着するって言っていたものね」

「そう言えば、そうだったサメエ。もうちょっと早く来てくれれば、こんなに冷や汗をかかずにすんだサメエ」


 式鬼から届いた事前連絡のとおり、戦場となったヒスイ河支流にレジスタンスの船が続々とやってきていた。


「おおっと、宴もたけなわか。味方のピンチに颯爽登場さっそうとうじょう!」


 桃太が耳慣れない甲高い声に誘われて横目で見ると、錨をおろしたジャンク船から、キツネ顔の不健康そうな男が部下を率いて飛び出した。


「はっ、テロリストども、毒を撒こうだなんて堕ちたものだな。ここはひとつ、レジスタンスのエース、離岸りがん亜大あだいが、新たな勇者、出雲桃太サマの前で点数稼ぎと行きますか。舞台登場ぶたいとうじょう 役名宣言やくめいせんげん――〝式鬼使い(デーモンマスター)〟!」

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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