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第780話 巨大騎士級人形、暴れる

780


「サメエ、桃太おにーさん、起きるサメエ。なんかめちゃおっきい戦車キメラが近づいてくるサメエ!」


 西暦二〇X二年一二月一一日。

 額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太いずもとうたは、日の出と共に、テロリスト団体、〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の襲撃を受けた。

 全長三〇メートルに達する、顔は獅子、胴体は山羊、尾は蛇の頭というキメラを模した屍体人形が放つ砲撃で、寝泊まりしていたジュシュン村を囲う外壁が吹き飛び、空飛ぶ天使に似せた屍体人形〝兵士級人形ソルダート〟がなだれこんでくる。


「今行く。って、なんだあれ、デカすぎるだろ!?」


 サメの着ぐるみをかぶる銀髪碧眼ぎんぱつへきがんの少女、建速紗雨たけはやさかめが警告した気持ちがよくわかる。

 天幕から飛び出した桃太は、横倒しのタワーマンションにも似た屍体人形の巨体に、思わず目を見張ってしまう。


「昼には味方の援軍が到着する。命を大事に無理せず時間を稼ぐぞ。総員、応戦用意!」

「「おう!」」


 黒騎士の声に応えて、レジスタンスメンバーが装備を得るために、ジュシュン村の武器倉庫や見張り台に向かう。しかし――。


「「火力の違いを思い知れ」」

「「うわああ」」


 村に近づいてくる巨大戦車キメラが口腔部から放った主砲の一撃で、武器倉庫や見張り台が吹き飛んだ。


「しまった。バイクも巻き添えになったかっ!?」


 この奇襲で特に大きな損害は、黒騎士が愛用する蒸気バイクが倉庫ごと破壊されてしまったことだろう。


「見たか、異世界の獣ども、これが通常の一〇倍の素材したいを注ぎ込んだ特製機体、〝騎士級人形ルイツァリ〟を超えた〝騎士級人形ルイツァリ、スーパールイツァリの力だ!」

「ダンキン将軍を救い出せ。あの人がいなくなったら、我々の指導者は粛清狂いのリノーとゼンビンしかいなくなってしまう」

「そうなったら、我々は終わりだ。ありったけの屍体人形を出すぞ」

「「おいおいおい」」


 桃太達は、下っ端兵士たちによる〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の内情を聞いて若干ヒキつつも、「クマ国民の遺体を改造した人形兵器を操るテロリストに情けは無用」と迎撃する。


「「少しでも紗雨姫の力になるんだ」」


 先ほどの砲撃を辛くも生き延びたレジスタンスメンバーが弓矢で応戦するが、通常よりもはるかに大きい戦車キメラには通じなかった。

 

「「うわあああ」」


 巨大な騎士級人形は、『スーパールイツァリ』と名前こそ残念だが、〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の切り札だけあって、たちまちのうちに応急修理したばかりの戦闘設備を破壊してしまった。


「かかか、これがダンキン将軍が秘蔵していた、〝巨大騎士級人形スーパールイツァリ〟だ」

「きききき。長老たちが保有する〝陸竜人形リンコール〟にも勝るとも劣らん」

「くくくくく、どうやら分散したようだな。戦力の欠けたお前達では止められない」

「けけけけけけ、そもそもクマ国代表カムロの弟子と、反政府組織である〝前進同盟〟代表オウモの右腕が肩を並べて戦うなんて、できるはずもないからな」


 どうやら〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の兵士たちも、ある程度は情報収集をしていたらしい。

 しかし、桃太と黒騎士の不可思議な関係を把握することは、一見には不可能だろう。


「黒騎士、あのデカブツを、〝巨大騎士級人形スーパールイツァリ〟を倒す。ぬかるなよ」

「トー……出雲こそ、油断するなよ」

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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>黒騎士が愛用する蒸気バイクが倉庫ごと破壊されてしまったことだろう 黒騎士バイク「なんで出雲桃太が乗ってないこっちが壊されるんだ!」
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