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第776話 ジュシュン村の戦い、決着!

776


「わしの〝鬼神具・深森悪霊レーシーの宝玉が、〝砂丘デューン〟が、絶対無敵の肉体がああ」


 額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太いずもとうたと、金髪赤目の少年、五馬乂いつまがいが〝鬼の力〟を祓うと、極悪テロリスト団体〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の指導者の一人、地霊将軍ダンキンは見るも無惨な姿に成り果てた。


「むごい。恰幅の良かった体が、骨と皮ばかりになってしまうなんて……」

「ワオ、スケアリー(こわっ)! 〝鬼の力〟なんてドーピングにゃあ、頼るものじゃないな」


 ダンキンは〝鬼の力〟に身を委ねて殺戮を繰り返し、異世界クマ国で百万人以上の犠牲者を出した因果が応報したのだろう。

 老いたるテロリストの指揮官は、呪われた力に生命と魂を吸われ、痩せ衰えるばかりか、腰から下が赤い霧と黒い雪となって散った。


「キョキョ、キョオオオっ」


 それでも大声で悲鳴をあげるあたり、かろうじて生きているようだ。


「「うおおおお。勝ったぞ!!」」


 ジュシュン村で抗戦していたレジスタンスメンバーは、桃太達の勝利を目撃して、歓喜に包まれる。


「やったサメエエ」

「カッコ良かったわよ」

「見事だ」


 サメの着ぐるみをかぶった銀髪碧眼ぎんぱつへきがんの少女、建速紗雨たけはやさあめや、三毛猫に化けた少女、三縞凛音みしまりんね。最後に、漆黒の全身鎧で武装した黒騎士もまたにこやかな笑顔で、バイクを停めた桃太と乂の元へ駆けつけハイタッチをかわした。


「出雲。もうすぐ後詰めのレジスタンス部隊がくるから、捕虜達は治療の上で引き渡そう。ダンキンを討ったことで、〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟最大拠点の一つ、キソの里への道がひらけるだろう。案内するよ」

「黒騎士、レジスタンスに伝手があるのか?」


 桃太の問いに対し、黒騎士は困ったように首を縦に振った。


「ああ、クマ国のレジスタンスはバラバラに蜂起したから、危うく各個撃破されそうになってな。元々付き合いのあった〝前進同盟ぜんしんどうめい〟が取りまとめているんだ。幸いにも連絡に便利な式鬼使いと、破壊工作から大規模戦闘まで手広くこなす指揮官がいたから、どうにか交戦できているよ」

「そうなんだ。コウナン地方は、元々オウモさん達、前進同盟の勢力圏と聞いている。確かまとめ役は〝酒乱ドランケン・フレンジー〟さんって名前の人なんだろう?」


 桃太の無邪気な反応に、黒騎士は加工音声でもわかるほどに気落ちして告げた。


「ドランケン・フレンジーは偽名。あるいは、コードネームだ。本名を知ったら、驚くぞ」

「へえ、誰なんだい? まさか、祖平さんのストーカー、ごほん。あのガタイのいい石貫満勒いしぬきみろくとか」

「ストーカー……否定しづらいのが悩みどころだな。満勒は〝G・Cグレート・カオティックH・O・(ヒーローズ・オリジン)〟の代表で、今は負傷したオウモさんの代わりに〝前進同盟〟の運営をやっているから、クマ国まではこれないんだ」


 黒騎士はしばらくの間沈黙したものの、やがて覚悟を決めたように、フルプレートアーマーをぎしぎしと軋ませながら、真実を告げた。


「トー……出雲。驚かずに聞いてほしい。〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の虐殺に抵抗するレジスタンスのまとめ役、ドランケン・フレンジーの正体は、かつて日本政府と冒険者組合に対してクーデターを引き起こした、元勇者パーティ〝J・Y・Oジュディジャス・ヤング・オーダー〟の代表、一葉朱蘭いちはしゅらんだ」


あとがき

お読みいただきありがとうございました。

ブックマークや励ましのコメント、お星様、いいねボタンなど、お気軽にいただけると幸いです(⌒▽⌒)


第一〇部はこれにて閉幕。

明日、登場人物紹介を投稿した後、数日のお休みをいただき、一〇月三日より再開します。

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朱蘭(しゅらん)→酒乱(しゅらん)→ドランケン・フレンジー(酒乱)の変換か 朱蘭「レディの秘密を勝手にしゃべるなんて躾のなってないガキだね」
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