表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

781/791

第775話 桃太と乂のコンビネーションアーツ

775


「桃太さん、がいさん。みずちさんの分析によると、〝有角蹄鬼チョート〟となったダンキンは、ガスマントと砂の翼に加え、二つを重ねた二重鎧で守っているようです。鉄壁の守りを破るためには、間髪入れない二連撃が必要です!」

「「了解」」


 額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太いずもとうたと、金髪赤目の長身少年、五馬乂いつまがいは、参謀役である芙蓉ふようイタルからアドバイスを受けて、立て直しをはかった。


「ふむ、必要なら狙撃を決めるが?」

「ガイ。桃太おにーさんの本物のパートナーである、紗雨と変わるサメエ?」


 二人に縁深い、フルプレートアーマーで武装した黒騎士と、サメの着ぐるみをかぶった銀髪碧眼ぎんぱつへきがんの少女、建速紗雨たけはやさあめは、テロリスト団体〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の兵士達を制圧しながら問いかけたものの……。


「ノープロブレム。ここは、オレと相棒の舞台だぜ。二人には後詰めを任せる」


 乂は桃太に向けて親指をたて、自らの肩を示した。


「相棒、初撃は任せな。さあ、幕引きといこうぜ」

「わかった。二太刀目で、ダンキンさんを無力化するのは、任せてくれ」


 桃太は、乂の肩に飛び乗り、変則的な二人乗りで、最後の連携を決めるべくダンキンに直進する。


「キョキョキョ。また奇妙な乗り方をする。クソガキどもめ、人を怒らせるのもほどほどしろよ。目にものを見せてやろう。〝砂丘デューン〟の嵐を受けるがいい」


 桃太が乂の肩に乗ったのは、蒸気バイクのよう〝鬼の力〟が宿る機械に乗ると壊してしまう特性によるもので、挑発の意図はなかったのだが……。

 キレたダンキンは、遠隔操作端末である〝砂丘〟を固めた砲弾を射出しつつ、隠蔽ガスで姿を隠した。


「悪いが、そういった攻撃には慣れている。なぜなら、柳さんとは何度も模擬戦をやっているからね」

「アイキャンドゥイットノースェット( あせもかかねえよ)。柳には、祖平って厄介なパートナーがいるけど、ダンキンにはもう誰もいやしない。とっておきのコンビネーションアーツってやつを見せてやるよ」

「乂、やるぞ!」


 桃太は乂の肩から飛び上がりながら、手裏剣を連打してガスの隠蔽をはぎとり、乂はその隙をついてダンキンへ斬りかかった。


「キョキョキョっ、馬鹿めが。クソガキ、背中に刃を隠していてもわかるぞ。お前の次の一撃は右からの袈裟斬りだ!」

「そいつは、残念。五馬家の剣術は二刀流でな。左手でも切れるんだよ! 〝砂丘〟を生み出すお前の力の源、今度こそ断たせてもらうぜ。――変幻抜刀へんげんばっとう疾風斬しっぷうざん!」


 乂の風をともなう斬撃は、ダンキンと一体化した宝石、〝鬼神具・深森悪霊レーシーの宝玉〟を片端から打ち砕き……。


「ダンキン。もうこれ以上、罪を重ねるな。アンタの呪いはここで断つっ。〝生太刀いくたち草薙くさなぎ〟!」


 同時に、桃太がかかげた右手を振り下ろすや、半径一〇メートルを攪拌かくはんし、粉砕する衝撃の嵐が炸裂。

 ダンキンに宿る〝鬼の力〟だけを粉砕した。


「キョキョ。まだだ、殺して殺し続ければ、どこまでも強くなれる。鬼神具よ、我に力をっ。よこせえええっ」


 ダンキンは、消えゆく〝砂丘〟とその製造元である色とりどりの宝玉達に手を伸ばして、諦め悪く吠えたける。

 されど、既に戦いは終わっていた。


「「りんぴょうとうしゃかいじんれつざいぜん――九字封印!」」


 桃太と乂が九字を切ると、鬼の仮面が真っ二つに割れて、巨漢のマッシブな肉体が消失し、まるでミイラのようにしぼんだ老人が転がり出る。


「わしの〝鬼神具・深森悪霊レーシーの宝玉が、〝砂丘デューン〟が、絶対無敵の肉体がああ」

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

ブックマークや励ましのコメント、お星様、いいねボタンなど、お気軽にいただけると幸いです(⌒▽⌒)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
>とっておきのコンビネーションアーツってやつを見せてやるよ 黒騎士「赤点スレスレだな」 紗雨「特に乂が悪目立ちしすぎサメェ」
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ