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第774話 地霊将軍ダンキンの執念

774


「ダンキン将軍。鬼に堕ちてなお、自我を保てるアンタは間違いなく強い。その執念は、必ずや俺たちの脅威になるだろう。だからこそ、ここで止める」


 額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太いずもとうたは、人間をやめて〝有角蹄鬼チョート〟なる怪物となってまで交戦を続けようとするダンキンの飽くなき闘争心に敬意を払った。


「ふん、地球日本のクソガキめ、若造なりに礼儀を知っていると見える」


 ダンキンは桃太の言葉に自尊心がくすぐられたか、ツノの生えた悪魔がごとき憤怒の表情を緩めるも……。


「シャーシャッシャ。と言っても、やっていることは力任せの蹂躙だろ? 地霊将軍だの有角蹄鬼チョートだの、ご大層な肩書や役名を背負っているわりに、戦い方が稚拙なんだよ」


 ここで桃太の相棒である金髪赤目の長身少年、五馬乂いつまがいが背中に『漢道』と書かれた革ジャンパーをはためかせながら、煽るようにまぜっ返したから逆に火がついた。


「黙れええ、ガキどもめ、わしを馬鹿にするんじゃない!」


 〝有角蹄鬼チョート〟となったダンキンは全身全霊をかけて、桃太たちに向かって蹄のついた拳を振り落とし、水に濡れた戦場に大穴がひらく。


「闘争心だけは尊敬できると思ったのは本当なんだけどなっ、我流・手裏剣」


 桃太が地上すれすれを走りながら、一撃必殺の拳を回避。カウンターとばかりに衝撃波をこめた石礫いしつぶてを投げて、的中させる。


「ぬるい。〝餓鬼砂壁ゴーストサンド〟を貫くには、力不足よ」


 爆発が湿地を揺らすも、砂の装甲とガスのマントに守られたダンキンはまるで動じなかった。


「わしはいずれゼンビンとリノーを倒し、三世界を掴むのダ。人間ごときの技など通じぬと知るがイイイイイイ」


 ダンキンはお返しとばかりにバイクに向かって殴りかかる。

 乂は間一髪で拳をさけたものの、巻き込まれた川辺の木々や岩を粉々に砕かれ、宙を舞った。


「できもしないビッグマウスをご苦労さん。どんなに強い攻撃も、〝当たらなければどうということはない〟ってな。今度はこちらの番だ。変幻抜刀へんげんばっとう陽光剣ようこうけん!」


 がいは、錆びて赤ちゃけた短剣を鞘から引き抜き、黄金の光を放ちつつ上段から切り下ろす。


「なるほど当たったな。それがどうした、非力、非力イイイイ」

「あ、アンビリーバボー……」

 

 しかしながら、乂の一撃をまともに浴びてさえ、ダンキンはかすり傷さえ負うことはなかった。


「どこまで避けられるか、見ものだナ。〝変色竜霧カメレオンミスト〟」


 ダンキンはガスのマントで姿をかくし、透明化して奇襲をかける。


「その力も使えるのか。乂、背中は任せた」

「おうよ、相棒」


 幸い二人だからフォローがきくものの、重装甲に守られ、透明化された有角蹄鬼チョートとの交戦は、まるで崖に張った細いロープの上を渡るようなギリギリの交戦となった。


「乂、ダンキンが鬼へと変わったとしても、あの防御力は、いくらなんでもおかしい。なにかギミックがあると思う」

「それなんだがよ。柳心紺やなぎここんが以前、〝砂丘デューン〟の盾を重ねて、防御していただろ。あれの応用だなんじゃないか?」


 乂の推理を後押しするように、ジュシュン村で戦いを見守るイタルからアドバイスが届いた。


「桃太さん、乂さん。みずちさんの分析によると、〝有角蹄鬼チョート〟となったダンキンは、ガスマントと砂の翼に加え、二つを重ねた二重鎧で守っているようです。鉄壁の守りを破るためには、間髪入れない二連撃が必要です!」

「「了解」」

あとがき

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― 新着の感想 ―
某非常識隊長「若人達よ、早くそのパチものを倒すのだ!」 >鉄壁の守りを破るためには、間髪入れない二連撃が必要です! 某明治初期剣客漫画の復讐に燃えるお坊様を呼ばないと
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