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第769話 強化された陸竜人形を打ち破れ!

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「す、すさまじい、パワーだ」

「ワットザヘル(なんてこったい)。ダンキンの使っている〝砂丘デューン〟って、柳心紺やなぎここんが使っていた遠隔操作端末と似たようなものだろ。隠蔽のガスに、砂の防壁、最後にゃカンフル剤兼、ブレス用のエネルギー電池ってか。応用範囲が広いにもほどがある!」


 額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太いずもとうたと、彼が右顔にかぶる仮面となった少年、五馬乂いつまがいは、バイクのアクセルを全開にして、全長四〇メートルの巨大なドラゴンから慌てて距離をとった。


「どうしたどうした。クソガキども、さっきまでの威勢はどこへ行った!?」


 テロリスト団体、〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の長老たる地霊将軍ダンキンは、周囲一帯の川を焼き払い、堤防を破壊するばけりか、一部の支流すら消滅させたブレスの破壊力に上機嫌だ。

 彼はゲラゲラと高笑いしながら、一都市分の屍体を材料に作られた巨大な怪獣を暴れさせる。


「やば、やばやばば」

「しぬしぬ、しんじまう。ヘルプ、アース!」

「GAAA!」


 高層マンションに匹敵する巨体は、それだけで凶器となる。

 ドラゴンがビルのごとき足を動かすだけで、森の木々が砕け、川原が崩れ、ジュシュン村の村民たちがつくった堤防が連鎖的に壊れ、水が溢れ出た。

 桃太達は幸いにも空飛ぶバイクに乗っているから、ぬかるみに足をとられることはないものの、これではいつ撃墜されるかわかったものではない。


「相棒、ジリ貧だぞ。一度分離して草薙を使うか?」

「いいや、乂。まだその時じゃない」


 桃太は、自らがかぶる仮面となった乂に対して片目を瞑って自信満々に断言した。

 とはいえ、あまりの暴れっぷりに近づくこともままならず……。

 ただただ冷や汗を流しつつ、陸竜人形が振り回す尻尾や、粉砕機がごとき巨足ををかわしながら攻撃の機会を窺う。


「キョキョキョ。〝陸竜人形リンコール〟よ、奴らを屠れ」


 ダンキンは、そんな桃太達の消極的な姿勢にごうを煮やしたのか、再び巨竜の口に炎を溜めてブレス攻撃の準備をしていた。

 それが、桃太の狙い通りとは知らず……。


「悪いね、ダンキン。俺たちは二人だけで戦っているわけじゃない」

「オッケイ! さっきの合図はこういうことか。アイゲット、イット」


 陸竜人形がブレスを発射しようとしたまさにその瞬間、桃太は拳をつきあげながら、全長四〇メートルの怪獣の横脇すれすれを走り抜けた。


「GAAA……」


 巨大なドラゴンは小すぎる標的を狙って方向転換をはかるものの、エネルギーを溜め込んでいたことが仇となったか、水に濡れた大地に足をとられて転倒。


「GA!?」


 まるで落とし穴にはまるように、半身を地面にめりこませて、沈んで行くではないか。


「キョっ? な、なにが起こった?」


 ダンキンは状況が理解できず狼狽するも、すぐに状況を把握することになる。


「サーメっメっ。川を壊したのが悪いんだサメエ。おっきなドラゴンが、落とし穴にドボンだサメェ」

「驚いたかしら? 黒騎士のアイデアで、ワタシの未来予測を生かし、イタル君が選んだ奇襲地点で、紗雨ちゃんとみずちさんが地盤をゆるめておいたのよ」

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黒騎士「(どや顔)トータの相棒はこの私だ!」
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