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第758話 一進一退、そして。

758


「えーい、情報収集のためとはいえ、ムカっ腹のたつことよっ。多少はできるようだが、絶対的な戦力差を思い知らせてやろう。我が〝鬼神具、深森悪霊レーシーの宝玉〟ある限り、〝砂丘デューン〟は何度でも生み出せるのだ」


 西暦二〇X二年一二月一〇日午後。

 異世界クマ国で一〇〇万人を殺傷したテロリスト団体〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の指導者のひとり……、地霊将軍ダンキンは、桃太達を脅威と認めたのだろう。

 砲撃戦主体の屍体人形〝騎士級人形ルイツァリ〟を中心に、空飛ぶ天使を模した〝兵士級人形ソルダート〟部隊を外側に、人形使いの指揮官やサイボーグ兵を内側に配置する円陣を組んで仕切り直しをはかった。


「これまで得た情報を元に、攻め手を変える。さあ、〝砂丘デューン〟よ、再び我らに加護を与えよ。戦闘機能選択、モード〝変色竜霧カメレオンミスト〟、モード〝餓鬼砂壁ゴーストサンド〟。切り替えだけでなく、併用も可能だと教えてやろう」


 ダンキンは恰幅のいい肉体を飾り立てる宝石から、黄色いガスを撒き散らし、円陣の内側にいる遠距離攻撃可能な人形使いやサイボーグ兵を隠蔽する一方、外側にいる屍体人形の周辺区域には砂壁による防衛陣地をつくりあげた。


「桃太さん、紗雨さん。乂さん、リンさん。敵の戦力は減りましたが、まだまだ向こうが上です。おそらくは数で圧殺するつもりでしょう。逃亡するにせよ、撃破するにせよ、〝砂丘デューン〟の解除が必要です。〝鬼神具、深森悪霊レーシーの宝玉〟を破壊してください」


 ジュシュン村でレジスタンスの指揮をとる、黒髪褐色肌の幼い少年、芙蓉イタルが叫ぶ。

 地霊将軍ダンキンに残る戦力は、人形使いとサイボーグ兵が八人。修復中の個体も含めて空飛ぶ〝兵士級人形ソルダート〟が四〇体、砲撃用の戦車キメラ〝騎士級人形ルイツァリ〟が一体……。

 そして、切り札ゆえか、戦場に投入していない〝陸竜人形リンコール〟が一体だ。

 戦闘開始時点から見れば半減しているものの、〝鬼神具、深森悪霊レーシーの宝玉〟ある限り、透明化するガスや、物理と術攻撃を弾く砂壁で支援されてしまう。

 イタルの言う通り、早急に〝砂丘〟の無力化が必要だろう。


「わかった、イタル君。砂とガスのせいで五感は鈍っているが、乂とリンちゃんのおかげで濃度が減った。〝斥候スカウト〟の役名は伊達じゃない。これなら空気の動きで把握できる!」

「〝巫女みこ〟だって負けてない。サメの聴覚と嗅覚はすごいんだサメエ!」


 とはいえ、額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太と、サメの着ぐるみをかぶった銀髪碧眼の少女、建速紗雨は、もともと感知能力にも長けており、一人当たりの〝砂丘〟の圧力も弱まったことで、徐々に対応しつつあった。


「「死ねっ、しねえええっ」」


 桃太と紗雨は、不可視のサイボーグ兵士達が放つ銃撃を気配だけで避け……。


「あちらを牽制してください」

「「うおおお、ちょっとでも援護するぞ!」」


 イタル達がジュシュン村の半壊した防壁から放つ矢の援護を受けて突撃する。


「そこだ。もう一度、我流・鎧通し!」

「高所から水と一緒に落としたら、どれだけ身を守っても関係ないサメエ」

「「GAAAA!」」


 二人の場合、砂壁の防御陣地をも突破するに足る特殊な技を使えることも、大きかっただろう。


「アイルドーイット(オレもやるぜ)っ。相棒やサメ子達には負けていられない。リン、火薬壺を寄越してくれ!」

「ごめんなさい、乂。手製爆弾は、さっき使ったのが最後なの」

あとがき

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>手製爆弾は、さっき使ったのが最後なの 凛音「乂のお小遣いが少ないから、あれだけしか用意できなかったの」 乂「オーノー(財布の中を確認しながら)」
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