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第757話 蒸気バイクの新機能!

757


「バカめ、そんなことをしても落ちるだけだ」

「そいつはどうかな?」


 金髪赤目の少年、五馬乂いつまがいは、テロリスト団体〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の猛攻をかいくぐりながら、あたかも正気を失ったかのごとく、陸から川面に向かって自信満々で突撃した。

 あわや沈没かと思われた瞬間、彼は首にマフラーのように巻き付く三毛猫に化けた少女、三縞凛音みしまりんねの背を撫でながら、バイクの側面に設置されたレバーを蹴りとばす。


チェックディスアウトめのたまひんむいてみろ! これが蒸気バイクの新機能だぜ」


 すると、バイクはヴォンヴォンという異音を発しながら、車体フレームがきしみをあげ始めた。


「な、なんだ、あのバイク、空中で姿が変わってゆく?」

「まさか、こんなことが可能なのか?」


 なんと乂が乗るバイク外装の一部が隆起して、側面に翼を構築。

 タイヤもまた地面を離れた後、垂直ではなく水平……縦ではなく横に回りはじめ、空を飛び始めたのだ。


「シャシャシャ! 空飛ぶバイクだぜ。カムロのクソジジイにゃ珍しい、粋なものを作るじゃないか」

「桃太君、紗雨ちゃん、風が心地よいわよ」


 乂と凛音は、外装側面から伸びた翼と、水平に回転するタイヤが特徴的な蒸気バイクで川面の上を水上スクーターのように飛びながら、愉快そうに微笑む。


「さすがは師匠、ロマンを良くわかってる。乂、俺も乗りたいっ」

「サメー、桃太おにーそんと一緒に乗ってデートしたいサメエ」


 世界にそう多くはないだろう特別な乗り物を見て、額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太いずもとうたと、サメの着ぐるみをかぶった銀髪碧眼ぎんぱつへきがんの少女、建速紗雨たけはやさあめは歓声をあげた。


「おう、相棒とサメ子には後で貸すからな。まずはこの人形どもをぶっ飛ばす」

「GAAAA!?」


 乂が錆びてあかちゃけた短剣を振るうお、クマ国人の死体を材料に作り上げられた、空飛ぶ人形兵器〝兵士級人形ソルダート〟がバラバラと崩れて散った。


「空対空戦なら負けないし、空からなら地上の不可視ガスを剥ぐ事だって容易いわ。そこっ」


 さらに、凛音が投下した火薬壺が、残る三体の戦車キメラのうち、二体の姿を明らかにした。


「なるほど、たいした機体だ。鹵獲ろかくした後で解析に回すとしよう。大口を叩くのは結構だが、先ほどから投げ回っている爆弾も無尽蔵ではあるまい。たかが四人程度、このまますり潰す。〝兵士級人形〟だけでは終わらんぞ。残った〝騎士級人形ルイツァリ〟も前に出せ」


 ダンキンは、なおも傲慢に言い放つも。


「ビッグマウスはそちらでは? どうして戦力が四人だけだと思ったのです?」

「「みずち様の応急手当てを受けたから、我々だって戦える」」

「「GA! GAA!?」


 女物の服を着た黒髪褐色肌の幼い少年、芙蓉イタルの指揮の元、負傷の手当てを終えたレジスタンス達がジュシュン村の外壁に登り、弓矢で応戦を開始。

 屍体人形は強固な装甲と自己再生能力をもつため、目に見えた損耗こそ与えられなかったものの、矢の雨によって軍勢を縫い止め、危険な移動砲台をたじろがせることに成功する。


「よし、イタル君達のおかげで隙ができた。これでもくらえ、我流・鎧通し」

「GAAA!?」


 すかさず、桃太が〝騎士級人形〟に組みついて衝撃波を流し込んで、爆散させ……。


「インチキ頼りだと、不測の事態に弱いんだサメエ。だから、水の力でぶん投げるサメエ!」

「GAAAA!?」


 紗雨もまた戦車キメラを空中へと放り投げ、頭から真っ逆さまに叩き落として粉砕した。


「えーい、情報収集のためとはいえ、ムカっ腹のたつことよっ。多少はできるようだが、絶対的な戦力差を思い知らせてやろう。我が〝鬼神具、深森悪霊レーシーの宝玉〟ある限り、〝砂丘デューン〟は何度でも生み出せるのだ」


あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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>相棒とサメ子には後で貸すからな カムロバイク「やめて、壊されちゃう」
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