第755話 嵐を呼ぶ風雲児と三毛猫娘、見参!
755
「相棒、サメ子。待たせたな。嵐を呼ぶ風雲児、五馬乂。義によって助太刀するぜ!」
額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太とサメの着ぐるみをかぶった銀髪碧眼の少女、建速紗雨は、バイクでかけつけた少年が名乗りをあげると、ほぼ同時に歓声を上げた。
「乂、それにリンちゃん! きてくれたのか!」
「サメエエ、遅いんだサメエ」
金髪赤目の少年、五馬乂と、彼の首に巻き付く三毛猫に化けた少女、三縞凛音こそ、桃太と紗雨が探し求めていた二人に他ならない。
「乂さんっ、また会えて嬉しいです!」
「出待ち正直、助かるわね」
「「うおおおっ」」
面識のある芙蓉イタルや佐倉みずち、レジスタンスのメンバーも。顔を喜びの色に染めている。その一方……。
「なんだやつは?」
「なんて派手な格好だ。ここはコミックマーケットではなく、戦場だぞ」
〝完全正義帝国〟の兵士達は、ダンキンが操る〝砂丘〟の機能、〝変色竜霧〟という不可視のガスに隠れながらも、驚愕の声をあげていた。
しかし、それも無理はないだろう。
ジュシュン村の戦場に割り込んだ少年は、、上半身裸の上に『漢道』とデカデカと刺繍した革ジャンを羽織り、太腿の付け根から裾まで広いドカンめいたボトムを身につけ、足には金属輪で補強したライダーブーツを履くという――大昔の不良を連想させる、かっ飛んだ衣装を身につけていたからだ。
「乂らしい、突き抜けたファッションの良さがわからないなんて、貴方達はテロリストだけあってセンスないのね。ええ派手にやりましょう」
少年の首にマフラーのように巻き付いた三毛猫こと、三縞凛音がベタ惚れふりを見せつけるかのごとく言い放つ。
「「その理屈は、いくらなんでもおかしい」」
完全正義帝国の兵士達は当然のように反発するも、彼らの着る威圧感増し増しな骸骨めいた軍服も、一般的には受け入れ難いデザインだ。
凛音は無視して、爆薬が入っているらしい壺をポイポイ投げはなつと同時に、赤い瞳から熱線を発射し、起爆する。
「「こ、これはっ、こんなことがああ!?」」
闖入者による爆弾投擲は、バイクの進行方向で待ち受ける、犬に似た鬼面をかぶる兵士たちを隠すガスを吹き飛ばし、〝変色竜霧〟を無効化した。
「サプライズ? ご好評につき、もう一発プレゼントだ」
「「うわああ」」
乂が再び火薬壺を投げ、凛音が目から熱線を放って起爆させるや、〝完全正義帝国〟の兵士たちは恐慌状態に陥った。
「似た役名である〝砂丘騎士〟の柳さんとは何度か共闘しているから、既に対策は立ててあるの。ガスで隠れられなくなれば、あとは討ち果たすだけ」
乂と凛音は、思わぬ奇襲攻撃を受けて逃げ腰となった兵士たちが盾として呼び寄せた空飛ぶ人形兵器を弾きとばしながら、戦車キメラに接近。
「なんの、戦闘機能選択、モード〝餓鬼砂壁〟」
「悪党め、スローすぎてあくびが出るぜ」
ダンキンがガスを変化させて展開する砂の壁盾をも、二人はバイクの速度を生かしてかいくぐった。
「くらえ、変幻抜刀・竜巻斬!」
「ホルスの瞳よ、邪悪なるものを焼き払え」
「GAAA!?」
乂が右手に握った錆びたナイフを振るい、螺旋に渦巻く風の柱を生み出して戦車キメラをズタズタに切り裂くや、凛音の目から放たれた灼熱の視線が追撃して火の海にかえ、再生を許さず人形を消し炭にした。
「どうよ、相棒。サメ子。〝騎士級人形〟だったか。まずは一体、邪魔な戦車キメラをぶっ壊してやったぜ」
「ワタシと乂のコンビネーション、貴方達にも負けていないでしょう?」
――――――――――
あとがき
お読みいただきありがとうございました。
応援や励ましのコメント、お星様など、お気軽にいただけると幸いです(⌒▽⌒)
あとがき
お読みいただきありがとうございました。
ブックマークや励ましのコメント、お星様、いいねボタンなど、お気軽にいただけると幸いです(⌒▽⌒)





