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第751話 桃太と紗雨、連携の妙を見せる

751


「ぶっ飛ばす!」

「反省するサメエ!」

「「ぎゃああああっ」」


 額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太いずもとうたと、サメの着ぐるみをかぶる銀髪碧眼ぎんぱつへきがんの少女、建速紗雨たけはやさあめは、ジュシュン村を包囲するテロリスト団体、〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟が擁する三〇人のサイボーグ兵と、彼らが操る天使を模した空飛ぶ屍体人形六〇体に対し、臆することなく殴りこみをかけた。


「我々の銃撃が、一発も当たらないだとっ!?」

「屍体人形をまとめて蹴散らすとか、どうなってるんだよっ」


 〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の兵士たちは、自信満々だった自らの武器が通じないことに愕然としているが……。

 桃太と紗雨が、最初に戦った元勇者パーティ〝C・H・Oサイバー・ヒーロー・オーガニゼーション〟は、それこそ銃器を切り札とするサイボーグ兵士であり……。

 次に戦った、元勇者パーティ〝S・E・Iセイクリッド・エターナル・インフィニティ〟には、中の人間はおまけで蒸気鎧パワードスーツを遠隔操作する敵もいた……。

 これまで培った経験が血肉となり、圧倒的多数の敵兵を相手にしてなお、二人を生かす。


「紗雨ちゃんには近づけさせない。我流・直刀ちょくとう

「「GAA A!?」」


 桃太は、東の森側に布陣した小隊が操る〝兵士級人形ソルダート〟一〇体を蹴り飛ばし。


「桃太おにーさんは撃たせない。サメ回転投げなんだサメエエエ」

「「ほげえええ」」


 紗雨は、南の川辺から銃撃する狙撃班一〇人を機械化された銃器の手足ごと投げとばす。


「「つ、強すぎる」」

「「あのふたり、と、止められんぞ」」


 桃太と紗雨は、戦う場所は離れていても息がぴったりあっていた。


「これが俺と紗雨ちゃんの」

「コンビネーションなんだサメエ」


 二人は息のあった連携で、サイボーグ兵士三〇人が放つ銃弾をかいくぐり、足技と手技でまたたくまに二〇人を無力化する。


「さすがは桃太さん!」

「紗雨ちゃん、相変わらず技が冴えてるわね」

「「お二人とも、すごい!」」


 その圧倒的な強さは、ジュシュン村の片隅に追い詰められた芙蓉イタルと佐倉みずち、レジスタンスメンバーを奮起させ……。優位であるはずの〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟を動揺させるに十分だった。


「ひいいいっ。の、残る〝兵士級人形ソルダート〟と、〝騎士級人形ルイツァリ〟を前に出せ。村の包囲を継続しろ」

「あ、あの二人、凄まじいぞ」


 鍔広の羊毛帽子をかぶる側近の一般指揮官達はたちまちのうちに浮き足だって、ダンキンの元へと押し寄せた。


「ダンキン将軍。参謀長であらせられるリノー様は、焦土作戦しょうどさくせん完遂かんすいが第一目標と仰っていた。毒罠を使って、屍体人形の材料を集めるのは、あくまで第二目標って話だったでしょう」

「出雲桃太は、地球日本の勇者で、建速紗雨は、クマ国代表カムロの娘。あの二人は、水辺での戦いじゃまさに無双。リノー参謀長にも勝ったって噂だ。戦闘を継続していいんですかい?」

「キョキョキョ。構うものか、続けろ」


 しかしながら、襲撃者の中心人物である、大量の宝石で着飾った地霊将軍ダンキンは不敵な笑みを浮かべて戦闘続行を命じた。


「わしは、他の長老どもと違ってこの年まで、異界迷宮カクリヨの現場で戦い抜いてきた。カムロのような例外はいざ知らず、あんな若造や小娘に負けるものかよ。それに、リノーが負けた相手に勝ったとなれば、ゼンビンへの牽制にもなる。わしには、奴らにもない切り札、〝砂丘デューン〟があるゆえに、な」


あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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>わしには、奴らにもない切り札、〝砂丘〟があるゆえに、な 今、手持ちにないだけなんだよなぁ
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