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第750話 地霊将軍ダンキンあらわる!

750


 西暦二〇X二年一二月一〇日午後。

 額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太いずもとうたと、サメの着ぐるみをかぶる銀髪碧眼ぎんぱつへきがんの少女、建速紗雨たけはやさあめが、異世界クマ国のジュシュン村にて毒の被害に遭った民間人を手当てしていたところ、異世界クマ国の民衆一〇〇万人を殺傷したテロリスト団体、〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の襲撃を受けた。


「キョキョ、バレちゃあしょうがない。わしは〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の地霊将軍ダンキン。我が〝鬼神具、深森悪霊レーシーの宝玉〟は隠密行動に特化している。勘づけただけでも褒めてやろうではないか」


 テロリストを束ねる宝石で飾り立てた巨漢が、腹をゆらして笑いながら名乗りをあげる。

 彼の背後には、鍔広の羊毛帽子をかぶって、骸骨のように白く角質的な軍服を身につけて、腕や足を金属製のパーツに取り替えたサイボーグ兵士三〇人。

 更には死体を加工して作った空飛ぶ天使に似せた〝兵士級人形ソルダート〟が六〇体、〝騎士級人形ルイツァリ〟と呼ばれる戦車キメラが四体、〝陸竜人形リンコール〟の名で恐れられる全長五〇メートルに達する爬虫類の怪獣めいたドラゴン一体までが並んでいた。


「ダンキン。この外道め、毒性化学物質の使用は国際条約で禁じられているだろう。毒薬を仕込むなんてまっとうな人間のすることか!」

 

 桃太は、思わず憤怒の声をあげた。

 今別行動をとっている冒険者パーティ〝W・Aワイルド・アドベンチャラーズ〟の仲間達や、彼らが運用する空飛ぶ戦闘艦トツカがあるならばともかく、これだけの大部隊が相手となれば、生きて逃げることも困難だ。……それでも言わずにはおれなかった。


「キョキョキョ。それは、地球の条約であろう? ウサギやキツネを罠にかけることをためらう狩人がどこにいる。わしもまた、異世界で人のカタチに似た二本足の獣を狩るために同じことをしているだけだ」

「……お前がどうしようもない悪党なのは、わかったよ。これ以上の問答は無用。アンタ達はテロリスト、殺人犯としてクマ国に引き渡す」


 桃太は、背後のレジスタンスメンバーを庇うように一歩を踏み出した。


「みずちさんは、民間人を守ってください。イタル君は脱出の準備を。俺と紗雨ちゃんは前に出ます」

「おまかせサメエ!」

「無理はしないでね」

「頑張ります!」


 桃太と紗雨がみずちと踏み出すや、〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の兵士達三〇人もまた応戦のため、自らの役名を名乗りあげる。


「「〝鬼神具きしんぐ〟、〝犬鬼面(デーモン・マースカ)〟よ、獲物をむさぼれ。舞台登場ぶたいとうじょう 役名宣言やくめいせんげん――〝猟犬銃鬼(オヴィンニク)〟」」


 サイボーグ兵士たちは、犬に似た鬼面をかぶり、汚い罵声をあびせながら、義手や義足に仕込んだ銃砲を撃ち放った。


「「おらおら、悲鳴をあげろや」」


 空飛ぶ屍体人形を盾に、北、東、西の三方向から放たれる、三〇人分の銃弾だ。

 地球上の人間同士の争いであれば、二人だけの抵抗者にはなすすべもなく蜂の巣となったことだろう。


「当たるかそんなもん」

「サメー、サメ映画のサメに豆鉄砲は効かないんだサメエ!」


 しかしながら、ここは異世界クマ国。〝鬼の力〟を利用する異能者たちがひしめく魔境に他ならず……。

 桃太と紗雨は背中合わせで反対の方向に飛び出すや、銃弾をすり抜けるように間合いを詰めて、拳骨を叩きつけた。


「ぶっ飛ばす!」

「反省するサメエ!」

「「ぎゃああああっ」」

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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