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第726話 形勢逆転!

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「〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟が物資を気にして戦わざるを得ない一方、役名〝行者〟となった桃太さんと紗雨さんは、河川という戦場であれば無限に等しい武器が供給されます」

「「え、そんな馬鹿な」」


 女性の服を着た黒髪褐色肌の幼い少年、芙蓉ふようイタルの解説はこれまで的を射ていたものの……、夢のような発言に対しては、交戦中のベンスイ砦守備隊は反発せずにはいられなかった。

 たとえ〝鬼の力〟があっても、刃は摩耗し、刀身は歪んでいくだろう。


「屍体人形がどれだけ再生能力に優れていても、粉々に噛み砕いてしまえばっ」

「粉砕玉砕大喝采サメエエエ!」


 額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太いずもとうたと、彼が左目の上にかぶった鬼面となった少女、建速紗雨たけはやさあめが協力して作り上げた全長四メートルに及ぶサメ型の大型武器〝シャークブレード〟は飛来する屍体人形をばりばりと食いちぎるなど……、強いには強いが無敵ではない。


「「GAA! GAAA!!」」


 現に彼らが振るうシャークブレードも、交戦中のテロリスト団体〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟が擁する無数の屍体人形を砕き、矢や投げ槍を受け止めたことで、遂には耐久性の限界を超えて溶け落ちてしまう。


「「ははっ、ざまあみろ」」

「「やっと壊れやがった」」


 テロリスト達はまるで鬼の首でも取ったかのように大騒ぎするものの……。


「じゃあ、次に行こうっか」

「サーメッメ! やっぱりここはドリルサメエエっ」


 桃太と紗雨は川面に手を突っ込んで、壊れたサメ型鈍器の代わりとなる水の掘削器くっさくきを手にしていた。


「ま、まさか、あいつら、川の水で武器をいくらでも用意できるのか?」

「「ああっ、そういうことかっ!?」」


 〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の指揮官達が気づいた時にはもはや遅く、〝行者〟に合体変身した桃太と紗雨は、源義経が披露した八艘飛びもかくやとばかりにジャンク船の間で跳躍を繰り返しながら、電光石火の攻撃を再開した。


「驚いたかい? みずちさんと特訓して更に強くなったコンビネーションのお披露目だ」

「むふふーっ。水辺の戦いなら無敵サメエ!」

「「GAAA!?」」


 桃太と紗雨は力を合わせ、鈍重な戦車キメラを蹴飛ばし、空中で邪魔する偽天使人形を投げ落とし、ジャンク船の底をドリルで突き砕いて沈めつつ、勝鬨かちどきをあげた。


「「無敵って、本当に無敵とかインチキだろ!」」


 この瞬間に――地の利なく、補給にも不安のあった――〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の闘争心は、ポキリと折れた。


「「さすがは紗雨姫と桃太様。勝てるぞ!」


 その一方で、クマ国ベンスイ砦守備隊の士気と熱量は、天を焦がすほどに燃えあがった。


「「紗雨姫と出雲桃太様を援護しろおお」」

「「雑魚が邪魔をするなああ」」


 三本の足と魚の尾びれを持つアマビエ族の女性兵士達は、今がチャンスと反撃にうつり、戦闘開始直後は五〇〇体いたものの、今は一〇〇体まで減った天使を模した兵器〝兵士級人形ソルダート〟を一体も残さず撃滅――。


「まだまだイクヨー」

「ドリルタイフーン!」


 友軍の援護を受けた桃太と紗雨は、まさに水を得た魚とばかりに大暴れして、ジグザグに跳ね回りながら、水のドリルでジャンク戦を穴だらけにしつつ、およそ三〇体残っていた戦車キメラこと〝騎士級人形(ルイツァリ)〟の半数を瞬く間に撃破した。


「「そりゃないだろーっ」」

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
次々と披露されるシャーク必殺技の数々……敵軍がもはや案山子に! 個人的に、将来は周囲の水に波乗りして敵を一掃する技や、渦潮トルネードする技も見てみたいところ。 流石にMPが尽きる? それはそう。
>やっぱりここはドリル 某教授「は~い、口を大きく開けて。痛かったら言ってね(ぎゅ~ん)」
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