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第724話 必殺、シャークブレード!

724


「さあ、やろうかあ。新技のお披露目だ、我流・〝水長巻みずながまき〟改め……」

「シャークブレードなんだサメエエ。ガンガンいくんだサメエ!」


 額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太いずもとうたと、彼が左目の上にかぶる仮面に変身した少女、建速紗雨たけはやさあめは、青空の下で鐘のように響く声をあげ、サメの顔を模した刃にも鈍器にも見える、全長四メートルを超える大柄な水の武器を顕現けんげんさせる。


「なんだかわからんが、奪われた船ごと爆発しろ!」

「「GAAAA!」」


 テロリスト団体〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の指揮官達は、天使を模した空飛ぶ兵器〝兵士級人形(ソルダート)〟三〇体に爆弾を抱えて突撃させ、新たな強敵を葬ろうとした。


「問題なし!」

「サメはなんでも食べちゃうサメエ!」


 そこで桃太はサメ顔の大型鈍器で三〇体の屍体人形を次々にぶん殴り、ギザギザのならぬで手足と胴体を噛み砕き、爆弾ごと消滅させた。


「「武器のデザインがサメって、おかしいだろ!」」

「「爆弾ごと破壊するのは、雑すぎるだろっ」」

「「空飛ぶ戦艦はセイリョウ要塞で目撃されたのに、出雲桃太がなんでこっちにいるんだよ」」


 この新技シャークブレードの威力には、屍体人形を操る〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の指揮官達も、ヒスイ河支流に浮かぶジャンク船団の上でおおいに恐れおののいた。

 ベンスイ砦との交戦開始からおよそ一時間。最初は五〇〇体いた〝兵士級人形ソルダート〟は、桃太達の活躍もあって今や半分以上を喪失、二〇〇体まで減っている。


「だが、考えようによっちゃあチャンスじゃないか。大将首がわざわざ安全な船を降りたんだ、出世のチャンスだぞ!」

「最近、補給も滞っていて遠方の狩りは無理だったんだ。飛んで火に入る夏の虫とはお前達のことよ!」

「なにが役名〝行者ぎょうじゃ〟だ。たった一人で、あと一九隻もいる船団に勝てるものか」


 されど、ベンスイ砦に攻め寄せた〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の指揮官達は、民間人を虐殺し、その死体を改造した人形兵器を使うほどの外道であり、欲深くも思慮が足りなかった。

 この場に戦闘艦トツカがいないこともあって、桃太と紗雨の攻勢を見てなお、まるで勝利を疑っていなかったのだ。


「あ、あれはウメダの里の田楽おでん様が使うとされる、二人で一人になる〝合体変身〟か!」

「カムロ様の愛弟子と紗雨姫は、伝説の融合術まで使われるのか!?」

「あのサメ型の武器を見るに、まさに阿吽あうんの呼吸!」

「息がぴったりとはこのことか!」


 一方、記録映像の視点である、三本の足と尾ひれを持つ人魚の一種、アマビエ族の女性兵士を含むベンスイ砦の守備隊は、弓矢や鬼術で屍体人形と苛烈な交戦を繰り広げつつ、喜ぶ者が半分。


「だが、敵には戦車キメラの〝騎士級人形(ルイツァリ)〟がまだ三八体も残っている。一人だけであの船団に切り込むのは、あまりに危険ではないか?」

「お戻りください。我々が支援します!」


 純粋な数の不利と、単独行動の危険性を危惧して動揺する者が半分だった。

 このままでは、クマ国軍の足並みが乱れるのは不可避と思われたが……。


「心配ありません。我々には、この戦いに勝てる二つの理由があります!」

「「なんだって!?」」


 桃太達と共にダブルカヌーに乗ってやってきた、女物の服をきた黒髪褐色肌の幼い少年、芙蓉ふようイタルが戦場の先頭に立って鼓舞したことで、迎撃を続けつつも、水をうったように静まり返る。


「ベンスイ砦の皆さん、聞いてください。我々が優勢である理由のひとつは、地の利です。〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟は船上に縛られるため、攻防が制限されてしまうのに対し、合体変身した桃太さんと紗雨さんは、ヒスイ河の川面を自由自在に動くことができます」

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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>「「武器のデザインがサメって、おかしいだろ!」」 紗雨「サメこそが至高サメぇ」
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