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第719話 焔学園二年一組の成長

719


「よし、隙だらけだよっ」

「全砲開門、一斉発射用意!」

「「ば、ばかなあああ」」


 地球日本の冒険者パーティ〝W・Aワイルド・アドベンチャラーズ〟が乗った、全長一〇〇メートルに達する巨大な空飛ぶ戦艦トツカは、ヒスイ河支流にかかる〝長飯橋ちょうはんきょう〟の下をかいくぐって、逆上がりからのバク転を決めた。

 地球からの来訪者は、その場の誰も予想しなかったとんでもない策で、〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の背後をとり、奇襲に成功したのだ。


「「「こ、こんなことが可能なのか!?」」」


 現場に居合わせた者はもちろん、白い貝殻に記録された再現映像を見るクマ国首脳陣までが、衝撃を受けたのはいうまでもないだろう。


「そ、〝兵士級人形ソルダート〟の隊列をととのえろ。くそ、ガラクタどもめ、動けよ、遅いんだ」

「一人で何体も動かさなきゃいけないんどぞ。急に移動方向を変えるなんて、できるわけないだろうっ」

「援軍だっ。援軍を呼ぶんだ」

「さっきからっ、セイリョウ要塞に救援を要請しているが、間に合わないっ」


 ましてやすれ違った直後に、背後をつかれた〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の指揮官達は、完全に足並みを乱して大混乱。

 別格の指揮能力を持つテロリストのリーダー、リノーならばいざ知らず、非武装の民間人を殺すことだけに慣れた一般指揮官達は、背後を取られるという状況を想定すらしていなかった。

 結果、およそ一〇〇〇体に達する空飛ぶ屍体人形を動かすことすらままならず、その場で押し合いへし合いしながら棒立ちになってしまう。


「ぶっとばせ。でなきゃ、甲斐がない!」

「作戦の意義はわかるけどさっ。毎度毎度、絶叫マシンのようなサーカス飛行は勘弁してくれ!!」


 空飛ぶ戦艦の甲板にロープで固定された観測員達の悲鳴が響く中……。


「もう一度、〝鬼術・十指光閃じゅっしこうせん〟ですわ。異世界でもアイドルの座は譲れませんわ。正々堂々勝負です!」

「BUNOO……(詠様、勝負する前に砲手が全滅だよ)」

「「げろげろげろ……、吐いている場合じゃない、詠様に続け!!」」

「「GAA! GAAA!」」


 橋くぐりのインメルマン・ターンを決めた戦闘艦トツカの側面から再び一〇本の光条が閃き、砲台からも赤黄青の光が放たれ、一〇〇〇体もの〝兵士級人形ソルダート〟をまとめて消失させる。


「「えーい、何をやっている!?」」


 その後、セイリョウ要塞から大小九隻からなる〝完全正義帝国〟の船団が〝長飯橋〟に向かってヒスイ河の支流へ出航するも、時すでに遅すぎた。


「お、きたきた。別行動中の出雲の野郎の話じゃ、〝完全正義帝国〟の足を止めるために、船は優先的にぶっ壊せだとよ」

「機関室、高度の維持を頼むぞ。攻撃は任せておけ」

「アハハ。こんなこともあろうかと、トツカが半壊する代わりに、広範囲に大爆発を起こすダイナマイトスイッチを作っておいたぞ」

「使わせねーよ。というか、捨てろそんな危険物!」


 空飛ぶ戦闘艦トツカは、内部でなにやら揉める声が外まで聞こえていたものの、対空戦闘可能な屍体人形一〇〇〇体を失って、カカシも同然となった〝完全正義帝国〟の増援船団を上空から砲撃し、わずか数分のうちに全艦大破させた。


「ひとつ、ふたつ、みっつ、……ここのつ。アハハ、敵艦隊、弾幕が薄いぞ。何をやっている?」

「言いたい放題だな、このコンブ!?」

「「うわあああっ、船が、船がしずむうう!?」」

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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>「「げろげろげろ……、吐いている場合じゃない、詠様に続け!!」」 鶏「コケー!(卵をチンしてる最中の電子レンジを投擲しながら)」
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