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第718話 戦闘艦トツカ、長飯橋にて民間人を救援する

718


「あの白い剣のような飛行体が最近噂に聞く、火龍アテルイ様の遺産か!」

「地球日本の勇者、出雲桃太いずもとうた様がウメダのおでん様から譲られたという空飛ぶ船!?」

「あれが冒険者パーティ〝W・Aワイルド・アドベンチャラーズ〟の連中がリノーをぶんなぐるのに使ったという戦闘艦トツカかよ、でかっ」


 異世界クマ国の代表カムロが大鏡に映す記録映像を見て、〝遠隔通神〟中の、クマ国軍部の重鎮である白髪の老将軍、芙蓉ふようコウエン、黒い翼が生えた若き鴉天狗の甲賀こうがアカツキ、茶髪天然パーマの青年、左玄さげんチョウコウは度肝を抜かれた。


「「た、助かるの、か」」


 記憶映像の中核となるネコマタ族の女性や、その子供達は、渡ったばかりの大橋〝長飯橋〟に迫るテロリスト団体〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟を見て絶望していたところ、まさかの救援を得て涙を流しながらへたり込む。


「「GAAA!」」


 動きを止めた避難民達を狙い、〝兵士級人形ソルダート〟と呼ばれる天使を模した空飛ぶ屍体人形が、記憶の主人である避難民達に向かって襲いくるも……。


「わたくし達、詠様と愉快な仲間達が来た以上、もう心配ありませんわ。〝鬼術・十指光閃じゅっしこうせん〟をくらいなさーい」

「「GYAA!」」


 トツカの側面から放たれた一〇本の光が人形達を焼き払ったため、ことなきを得た。


「「た、助かった。でも、うたさまって、誰っ!?」」

「がーん、勇者なのに、紗雨ちゃんに知名度で負けましたわあっ!」


 なお、クマ国代表カムロの養女である建速紗雨たけはやさあめと違い、地球日本の勇者である六辻詠ろくつじうたの名前は異世界では知られていなかった。


「ブリッジは何をやっているんだ。まだまだ敵は山ほどいるぞ」

「関中隊長、矢上先生より合図がありました」

「わかった。甲板にいる者は衝撃防御!」


 視点の主が見上げる関中という人物が、綱で自身の身体を見張り台にゆわえた直後……。

 白く輝く剣のごとき外見の、空飛ぶ戦艦は船体腹部から出現した色とりどりのリボン布で船体を繭のように覆って、民間人の前に立ちはだかり、偽天使人形一〇〇〇体が投じた槍や毒といった攻撃を受け止める。


「「す、すごい防御だ、あの船!?」」


 リボン布地という外付けの鎧だからこそ可能なのだろう。

 危険な刃物や毒弾は、柔らかな繊維に包まれて無力化された。


「「や、やったー」


 ネコマタ族の女性をはじめ、避難民は歓声をあげるものの、すぐに声のトーンが激変した。


「いけない」

「このままだとぶつかってしまう」


 戦闘間トツカは、視点の主や避難民とすれ違うようにして、〝完全正義帝国〟の軍勢が集結する、ヒスイ河にかけられた大橋〝長飯橋ちょうはんきょう〟へと向かってゆくではないか。

 巨大リボンの繭に包まれた船からも悲鳴があがる。


「関中隊長、このコースはっ!?」

「あんの艦長代理と航海長めっ。戦艦で橋の下をくぐってバク転を決める気かっ」


 視点の主に聞こえた声は、およそ常軌を逸していた。


「「ええーっ、嘘だろう!?」」


 多くの民間人が見守る中、空飛ぶ戦艦は、長飯橋の橋桁はしげたの下をくぐって川面へ突入。


「船だよ? いったい何を考えているの?」

「まま、ひょっとして逆上がりでもするのかなっ」


 視点の主人であるネコマタ族の女性と娘の想像は正しかった。

 空飛ぶ戦闘艦トツカは狭い橋脚と橋脚の隙間を縫うようにして水中を移動しながら、再度空中へと上昇し、〝兵士級人形ソルダート〟軍団の背後をとったではないか。


「よし、隙だらけだよっ」

「全砲開門、一斉発射用意!」

「「ば、ばかなあああ」」

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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航海長(某大天使製の操舵教本で学習中) ネコマタ族娘「すっごーい、今度やってみよう」 ネコマタ族女性「いい子はマネしちゃいけません!」
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