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カクリヨの鬼退治〜追放された少年が、サメの着ぐるみ少女と共に、勇者パーティに逆襲する冒険譚〜  作者: 上野文
第一〇部/第一章 カムロ、完全正義帝国に対して単騎親征す
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第694話 カムロ、コウリョウ要塞に到着する

694


「ゲキシン、お前はその場違いな鎧と同じだ。英雄を気取るには貫目が足りんし、やったことが外道過ぎて童話にも不要だ」

 

 異世界クマ国の代表にして、牛頭の仮面をかぶった足の見えない幽霊カムロは、反乱を起こして虐殺を繰り広げ、死体から人形兵器を生み出すテロリスト団体〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の陸戦将軍ゲキシンを撃破。


葉桜万寿はざくらばんじゅ小隊長、捕虜の確保を頼むよ」

「わっかりましたーっ」


 カムロは一〇〇〇と一体の死体人形を供養した後、無力化したサイボーグ兵一〇〇人の対処を後続の部隊に任せて、再び船で移動を再開する。


「ああ痛っ。若い頃はこうじゃなかったのに、最近は寝ても疲労が抜けないから困る。ひょっとしたらコウリョウ村はただの囮で、敵の狙いは僕を消耗させることかも知れないな。……若返りの能力だけは、大蛇どもが羨ましい」


 カムロは、戦闘で負った筋肉痛を少しでも癒そうと身体中に軟膏を塗りたくり、干した米と乾いた味噌を川の水で戻して夕食を摂った。

 最後に酸っぱい梅干しを食べて、種をゴミ入れの皮袋の中へ吹き出すと、船の中で寝転んで紫に染まりつつある天を見上げる。


(僕の単騎突撃は、確かに有効だ。だが、消耗戦を強いられれば、じきに通用しなくなる。なにか新しい手段、新しい作戦が必要だ)


 カムロは悩みつつも何日かの時間をかけて、コウナン地方南部の物資収集拠点と目されるコウリョウ村へ遂に辿り着いた。


「本当に要塞化されていたが、静かで人っこ一人いやしない。あれだけ倒せば逃げもするか」


 カムロがたどり着いた時、コンクリートバリケードや有刺鉄線で防衛されてはいたものの、倉庫が並び立つ拠点は既にもぬけの空だった。


「無人ならば、戦闘の必要もない。葉桜万寿の小隊を呼んで接収しよう」


 カムロはこれまで、指導者達を単騎で討ち取るゲリラ戦を敢行し、一週間あまりで財務長官オウタイ、空戦将軍コリク、陸戦将軍ゲキシンを討ち取る華々しい成果をあげていた。

 それゆえに、夜逃げされていても不思議はなかったのだが……。


「そこかっ」

「「BABAN!?」」


 カムロは踵を返したものの、即座に天井と壁を蹴って引き返し、荷運び用コンテナの影に隠れていた、コウモリに似た式鬼〝野鉄炮のでっぽう〟一〇体が口から放つ銃弾を素手で弾き、手刀と足刀でペキペキと首を落として沈黙させる。


「この〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の拠点は放棄されているようだが、どこかに誰か残っているんじゃないか? 今の式鬼は見張りだろうし、なにやら強い〝鬼の力〟を感じるぞ」


 カムロがよくよく耳を澄ませてみると、要塞化された倉庫の隅から、人の声が聞こえてくる。


「よし、予想通りだ。クソジジイども、なにもかも捨てて逃げ出しやがった」

「捨てられた物資をどうしようと勝手だものな。ようやくガキどもにメシをたらふく食べされてやれる」

「傷薬や毛布もあるぜ。喜ぶ顔が目に浮かぶ」

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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>若い頃はこうじゃなかったのに、最近は寝ても疲労が抜けないから困る 二番「そんなこと言ってると、皺だらけなのを隠すための厚化粧で人形使ってるばあさんがキレるでゲスよ」
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