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第678話 行方不明の乂を見つけ出すために

678


 西暦二〇X二年九月三日。

 額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太いずもとうたと地球日本の冒険者パーティ〝W・Aワイルド・アドベンチャラーズ〟は、のちに〝常葉山救出戦じょうようざんきゅうしゅつせん〟と呼ばれる戦いで、ウメダの里の顔役、田楽おでんから受けた依頼のとおり、里を焼け出された避難民の救出に成功した。

 しかし、異世界クマ国で虐殺を繰り返す〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の指揮官、白髪の優男リノーが操る屍体人形の軍団を撃破したものの――。

 桃太自身の目的である相棒、五馬乂いつまがいとの合流や、敵指揮官リノーの捕縛には失敗。

 火龍アテルイが残した八岐大蛇に抗うための遺産、空飛ぶ戦闘艦トツカを用いながらも、七分の勝利に甘んじたと言えるだろう。


「みんな、避難民の救助お疲れさま。ごはっ」

「「ういーっす。げろげろげろ」」


 桃太と、彼のクラスメイトである焔学園二年一組の仲間達は、避難民の受け入れと治療を終えて気が抜けた瞬間……。

 強烈な船酔いに襲われて、胃の中のものを嘔吐リバースしながらぶっ倒れた。


「あ、あれ、オオバカリさんが酔い止めの結界をはってくれてたんじゃなかったっけ?」

「ぶ、艦橋ぶりっじの周囲だけなんだサメー。むしろ、みんなあのはちゃめちゃな戦闘機動の後なのに、よく持った方サメエ。うぷっ」

「「そっかあ。ぐえっぷ」」


 桃太達はヒスイ河で汚れた衣服を洗濯した後、戦闘艦トツカに戻ってシャワーを浴び、ブリッジに冷やした水を持ち込んで集まった。

 これまでも地球や異界迷宮カクリヨで命のやりとりはしてきたものの、異世界クマ国での本格的な戦闘は初めてだ。難関をひとつ乗り越えたのだと、誰もが安堵していた。

 そんなリラックスタイムで、桃太がとんでもない爆弾発言を投げこんだ。


「みんな、聞いて欲しいことがある。

 カムロさんの命令で先行調査している五馬乂いつまがいとの合流は叶わなかっただけど、避難民の中にいた少年、芙蓉格ふよういたる君が、アイツのいた場所まで水先案内人をやってくれるらしい。だから、俺と紗雨ちゃん、みずちさんは、安全地帯であるナゴヤの里で非戦闘員をおろした後、別行動をとって連中の重要拠点であるアシハラの里を目指そうと思う」


 桃太の提案を聞いて。仲間達に困惑がさざなみのように広がった。


「おいおい出雲、冒険者パーティ〝W・Aワイルド・アドベンチャラーズ〟の代表はお前だぞ?」

「パーティの指揮はこれまで通りに、遥花先生にお願いするよ。俺は代表であって指揮官じゃないし」

「「うん、それはそうだな……」」


 桃太は、日本の冒険者組合でも有数の特記戦力だ。

 これまでもクーデターを起こした元八大勇者を次々に叩き伏せ、異世界クマ国屈指の実力者、田楽おでんとのエキシビジョンマッチに勝利。異界迷宮カクリヨを統べる怪物の親玉、八岐大蛇の首にも勝利を重ねている。

 が、そもそもまだ学生のため、集団指揮能力は高いとは言えない。

 元勇者パーティ〝C・H・Oサイバー・ヒーロー・オーガニゼーション〟のクーデターの際、レジスタンスを率いた経験のある担任教諭の矢上遥花やがみはるかや、最盛期には伝説の勇者、獅子央焔ししおうほむらと互角に張り合ったとされる冒険者パーティ〝G・O(グレート・オーキス)〟に所属していたベテラン冒険者、呉栄彦くれはるひこといった大人達の方が、パーティを導く指揮官として適任だろう。


「この戦闘艦トツカはどうするんです? オオバカリさんに認められた艦長マスターは出雲サンですよ」

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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