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第660話 空飛ぶ戦艦を動かす付喪神オオバカリ

660


「皆に紹介するわ。彼女はオオバカリ。戦闘艦トツカの航行、戦闘、防御を統括する付喪神よ。頼めば、たいていのことはやってくれるわよ」

「「ええーっ」」


 水色の髪に水兵帽と水兵服を身につけた付喪神、佐倉みずちの解説を聞いて、冒険者パーティ〝W・Aワイルド・アドベンチャラーズ〟団員一同は、想像もしなかった機能を知って、あっけにとられた。


「みずちさん、それってロボットアニメに出てくる人工知能みたいなやつのこと?」

「桃太君。ロボットアニメって何? 紗雨ちゃんがいつも見ているサメ映画のこと?」


 パーティ代表である額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太いずもとうたがさっそく尋ねたものの、あげた例が地球のサブカルチャーによりすぎていたらしい。

 地球異世界クマ国の付喪神である、みずちにはわかってもらえず、首を傾げられた。


「みずち様。おでん様からいただいた娯楽資料を学んだところ、ロボットアニメとは機械仕掛けの人形が活躍する絵付きの物語を指します。マスター、その認識で問題ありません」

「「!?」」


 しかしながら、オオバカリは学習していたらしく〝己がそうである〟と肯定した。


「……オオバカリさんも付喪神なんだね?」

「当機は経験も浅く、情動も薄いですが付喪神であると認識しています。皆様のお力になれるよう努力します」

「「うおおおおっよろしく」」


 ブリッジと廊下は歓声に包まれる。


「桃太おにーさんが、マスター。な、なんか嫌な予感がするサメエ」


 サメの着ぐるみをかぶった銀髪碧眼ぎんぱつへきかまんの少女、建速紗雨たけはやさあめはまたまたライバルが増えそうだと気づいたのか、尻尾をびたんびたん振りながら慌てはじめ……。


「「よしよし、チャンスだ。ここから巻き返そう」」


 一方で、桃太に想いを寄せる他の娘達は、先の田楽おでん戦で紗雨の先行を許したこともあり、更なる混沌の到来を喜んでいた。


「手動方法はわたしが知っているから、あとで教えるわ。今はオオバカリに任せて進みましょう。目標はコウナン地方北部にある常葉山じょうようざん。乂君と避難民の救出を最優先し、余裕があれば〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟に占領されたアシハラの里を探して偵察します。桃太君、それでいいわね?」 

「はい、よろしくお願いします」

「マスター、命令受諾しました」


 そうして、幅一〇メートル、全長一〇〇メートルの剣めいた船は、波のようなエフェクトをつくりつつ、陸上を浮かびながらしばらく進んだ。

 ウメダの里を出て、いくつの〝転移門ワープゲート〟を通っただろうか?


「……船を叩く風の音が変わった。誰かが助けを求めている気がする」


 艦長席に座りながらも船体に意識を集中していた桃太が、違和感に気づいて飛び上がった。


「オオバカリさん、東へ行って!」

「マスターのセンサーは当機よりも優れているのですね、感服です。音響探査開始、発見しました!」


 よく通る声がブリッジに響くや否や、遠視鏡を拡大した立体映像が空中へ映し出される。


「あれって、乂が助けた集団じゃないか。一緒にいるのか?」


 そこには、血まみれになりながら逃亡する避難民の一団があった。


「「な、なんだあの船は? 〝完全正義帝国スプラヴェドリーヴォスチ〟の兵器か!?」」

「「いや待て、ウメダの里所属を示す旗を掲げているぞ!?」」

「「イタル、このまま進んでいいの?」」


 避難民達が大混乱に陥る中、集団の先頭で統率していた女物の着物を着た年若い少年、芙蓉格ふよういたるは、一人だけ冷静に船を見上げていた。


「あの空飛ぶ剣みたいな船に乗っているのは、ひょっとして乂さんが言っていた相棒さんか!?」

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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>オオバカリは学習していた 邪悪竜「やぁ、君の叔父で教育係を担当する事になったよ」
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