表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
610/793

第604話 合体変身という技術

604


「今更の質問ですが、おでんさんとみずちさんも、一心同体、二人で一人の変身ができるんですか?」


 額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太いずもとうたは認めざるを得なかった。

 今まで〝かんなぎの力〟を持つ桃太と、パートナーである建速紗雨たけはやさあめ、そして相棒の五馬乂いつまがいだけが可能だった合体変身を……。

 眼前に立ちはだかる、鴉の濡れ羽がごとき黒髪が美しい麗女、田楽おでんと、音で水を操る魔法の竪琴たてごとガンバンテインに変身した少女、佐倉みずちは実現している。

 

「何を驚くことがあろう? 〝巫の力〟でアレンジされたといえ、桃太君と紗雨ちゃんが使っている変身術式は、元はといえば武神スサノオとその妻達が構築し、後代のために残したものよ」


 おでんは、隻眼の翁を模した仮面から赤い瞳をのぞかせながら、自身の変身が桃太達と同じルーツから生まれた技術だと告げた。


「桃太君、紗雨ちゃん。今の世界……クマ国が生まれる以前の世界に、人と鬼神、異なる二種の力を〝融合〟させることでスペック以上の力を生み出そうとする禁忌の術があったの」


 みずちは、よほどその〝融合〟なる術が嫌いなのか、隻眼の翁の面は怒りに歪み、竪琴から聞こえてくる声も、殺気すら漂っていた。


「それも、一〇+一〇を二〇にするのではなく、一〇✖️一〇で一〇〇にするような無茶な技じゃ。どうしたって、反動は膨大なものになる。この二千年で使いこなせていたのは、わしの主君やカミムスビのような、ごくわずかといったところじゃろう」

「そんなの、めちゃくちゃ危険じゃないですか?」

「え、え、そうだったんだサメエ!?」


 桃太と仮面になった紗雨は悲鳴をあげるも、みずちが穏やかな口調で語りかけた。


「今、貴方達が使っている合体変身に危険はないわ。実はクマ国へ侵略してきた八岐大蛇も同じ融合の力を使っていて、〝鬼の力〟として制御していたみたいなの。奴らの振り撒く〝鬼の力〟がこの世界に満ちた結果、スサノオ達もまた暴走することなく〝融合〟をコントロールするためのシステムを完成させたわ。それが、紗雨ちゃんが持っている勾玉に組み込まれている」

「乂君の使う短剣の方はプロトタイプで安全維持機能は未完成のはずなのじゃが、そこは桃太君の〝巫の力〟と、あの中にいる存在が代わりを担っているのじゃろう」

「はい、たぶんそんな感じです」


 八岐大蛇、第五の首、隠遁竜ファフニールによると、短剣の中にいる彼は〝鬼の力〟の蛇口を開け閉めして、悪影響を防いでくれていたらしい。


(だから、短時間に全力でラッシュを決める乂の戦い方とは相性が悪いのか……)


 桃太と乂が出会った直後、遥花先生を巡って戦った時が印象的だが、乂が激情もあらわに〝鬼の力〟を引き出そうとすると、ガス欠のような症状を起こすことが何度かあった。


(それでも、ファフ兄はずっと俺たちの力になってくれた)


 逆に乂がヘトヘトでも、限界以上の力を発揮して、彼の愛する幼馴染、三縞凛音みしまりんねについた炎猫鬼アイムを祓い、命を救ったことがある。

 あの時もまた、短剣の中にいるファフ兄が尽力してくれたのだろう。


「わしとみずちは、桃太君と紗雨ちゃんの使う合体変身が作られた時代に生きていたのじゃ。同じ技を使えてもおかしくはあるまい?」

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

ブックマークや励ましのコメント、お星様、いいねボタンなど、お気軽にいただけると幸いです(⌒▽⌒)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
そんな危険な存在を、某バルバトスさんの様に狩ってた人間達もいるんだよ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ