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カクリヨの鬼退治〜追放された少年が、サメの着ぐるみ少女と共に、勇者パーティに逆襲する冒険譚〜  作者: 上野文
第八部/第八章 出雲桃太と田楽おでん、三世界分離計画について論ずる
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第577話 桃太、黒騎士の正体に気づく

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(黒騎士! あいつ、まさかリッキーなのか!?)


 額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太いずもとうたは、『創世神カミムスビが、死者蘇生という新たなルールを加えて異世界クマ国を新生した』と、田楽でんがくおでんから聞いて、激しく心を揺さぶられた。


(黒騎士は、リッキーに似た戦闘術を使うから、同門だと思っていたけれど……)


 常に真っ黒な全身鎧を着て顔と体を隠し、機械音声で会話し、桃太の親友、呉陸喜くれりくきと同じ冒険者パーティ〝G・O(グレート・オーキス)〟由来の体術で戦う男。

 

(もしリッキーがなんらかの手段で復活したなら、師匠……、異世界クマ国の代表カムロに反旗をひるがえした、オウモさんにアプローチを取っても不思議はない)


 その上で、陸喜が蘇ったのなら、必ずや桃太に会いにくることだろう。


(冒険者育成学校〝焔学園ほむらがくえん〟への転入前に、黒騎士は俺と紗雨さあめちゃんを襲った。

 なぜそんな真似をしたのかわからないけど、復活したばかりで〝鬼の力〟に惑わされていたのか? 

 あるいは俺に害意を持っていた四鳴啓介しめいけいすけさんとの戦いを見越して、〝時空結界じくうけっかい〟を予習させたかった、という可能性もあるのか?

 手段が過激すぎた気もするけど……)


 桃太も、陸喜が『親友との戦いが楽しくて、ついやり過ぎちゃいました』という真相までは、見抜くことは出来なかった。


(そして、次にリッキーが選ぶ行動は、啓介さんが率いるテロリスト団体〝S・E・Iセイクリッド・エターナル・インフィニティ〟の魔手から、妹の陸羽りうちゃんを救い出すことに違いない。そのために一度は俺たちと共闘したが、カムロさんと近すぎる俺の側にいれば、自分自身が火種なると見越して出ていったんじゃないか?)


 これまでの黒騎士は、桃太の敵になったり、味方になったりと、意味不明な行動をとる正体不明の怪人物だった。 

 しかしながら、こういった事情であるならば、一本筋が通ってしまう。


(リッキー、お前は自分が生きる場所を勝ち取るために、オウモさんに協力しているのか?)


 桃太は、ぐっと拳を握りしめた。


(黒騎士の元へ駆けつけたいけど、今はダメだ。異世界クマ国までついてきてくれた級友達を、冒険者パーティ〝W・Aワイルド・アドベンチャラーズ〟設立を手助けしてくれた孝恵たかよし校長を、裏切るわけには行かない。

 なにより、師匠の〝三世界分離計画〟を阻止しないと、異世界クマ国との技術交流や、異界迷宮カクリヨの資源に依存した今の地球に、とんでもない被害がでてしまう)


 昔の桃太であれば、可能性があるというだけで飛び出せたが、これまでの戦いで繋いだ絆と、広がった視野がはやる足を止めた。

 

(ひとつずつ、抱えている問題に決着がついてからだ)


 桃太はカムロの計画を止めた後、正々堂々あい見えようと、黒騎士の件を心の奥底へ仕舞い込む。


「いえ、なんでもありません。おでんお姉さん、ここで交わした会話については、秘密にすると約束します」

「うむ、お姉ちゃんとの約束じゃぞ」


 桃太とおでんは互いに小指を伸ばし、指きりを交わした。


「桃太君達が見抜いたとおり、八岐大蛇との二度目の戦いで助力してくれた神々の正体は、大半が人間じゃ。しかし、一千年前に〝死者蘇生〟という新たなルールを持ち込み、今日まで人々の営み見守ってきたカミムスビだけは、この世界における本物のカミといっても差し支えない存在なのじゃ」

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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>八岐大蛇との二度目の戦いで助力してくれた神々の正体は、大半が人間じゃ 人間(変態)
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