表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カクリヨの鬼退治〜追放された少年が、サメの着ぐるみ少女と共に、勇者パーティに逆襲する冒険譚〜  作者: 上野文
第八部/第三章 遊戯用迷宮〝ウメダのすごいジャングル〟
539/793

第533話 クイズレースはクマ国伝統行事!?

533


『またの挑戦をお待ちしています。罰ゲームのスフィンクスビーム!』


 額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太いずもとうたと、サメの着ぐるみをかぶった銀髪碧眼ぎんぱつへきがんの少女、建速紗雨たけはやさあめは、遊戯用地下迷宮〝ウメダのすごいジャングル〟の門を守るスフィンクス人形の問いかけに答えられなくなって、遂に撤退を余儀なくされた。


「ひどいサメエエっ。ネコさん人形は、意地悪サメエ!」


 桃太と一緒に地上へ戻された後、紗雨はいたく腹を立てて、出題者であるはずの運営者、田楽おでんの屋台に乗り込んで注文するや、八つ当たり気味にくってかかった。


「カカカっ。迷宮探索に謎解きギミックを仕込んだ仕様は、一千年前から続くクマ国伝統の正月行事、新春クイズレースを参考にしたのさ」


 されど、鴉の濡羽がごとき黒髪の美しい、赤いサマースーツを着た麗女、おでんの返答は意外なものだった。

 クマ国では伝統的なやり方だと、逆にさとされたのだ。


「へえ、さすが異世界。クマ国にはクイズレースがあるんですか?」

「ものすごく長い歴史があるんですね?」

「なんだか地球日本の箱根駅伝みたいだが、途中でテストをやるのは珍しいね」


 とりあえず大根を注文した桃太と、たまたま隣で昼食をとっていたベテラン冒険者の呉栄彦くれはるひこと、その姪である山吹色髪を三つ編みに結った小柄な少女、呉陸羽くれりう

 三人は、揃ってクマ国伝統行事だというクイズレースに興味津々(きょうみしんしん)だった。


「サメエ。あれって見るのは楽しいけど、自分でやるのは嫌なんだサメエ」


 されど、紗雨はそんな空気など読めるはずもなく、ちくわぶをペロリと平らげたあと、フグやアンコウのように頬を膨らませる。


「運動中にテスト問題もやらせるとかアホサメー。こんなものを始めたやつは、末代までたたってやるサメエ」

「末代までたたるもなにも、初代クイズレースを企画した者も、設営した者も、裏方を勤めた者も、実際に走った者も、みーんな紗雨ちゃんのご先祖だねえ」

「「「え、そうなんだ!?」」」


 桃太達が驚きの目線を送るも、どうやら紗雨も初耳だったらしい。


「ご、ご先祖様ったら、どれだけクイズをやりたかったんだサメ。そんなにやる気が凄いなら、もちろん優勝したサメ?」

「カカカっ。出場した選手は、足の速さこそトップクラスだったそうだけど、紗雨ちゃんと同じようにクイズ問題で失敗して、普通に負けたそうだねえ」

「「紗雨ちゃんのご先祖だけあって、そっくり!?」」


 そしてクイズレースの考案者達は、意外と残念なお人だったらしい。


「ご、ご先祖様達は、いったい何を考えていたサメエ」

「そりゃ何も考えてなかっ……。いいや、楽しむことを考えていたんじゃないかな?」


 紗雨は不服そうだったが、おでんにそう言われては返す言葉がなかった。


「紗雨ちゃん、それに地球からの客人も、クイズを楽しんでくれて嬉しいよ。迷宮深部のクイズは、クマ国神話から出題されることが多いから、ウメダの広場にある図書館兼、博物館を参考にするといい。クマ国のことを知ってくれると運営者としても甲斐がある。……いらっしゃい。何にする? 今日はタマゴがオススメじゃぞ」


 田楽おでんはそう言い残し、新しい客が来たために屋台の営業へ戻っていった。


「紗雨ちゃん、元気だして。俺は一緒に遊べるだけで楽しいよ!」

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

ブックマークや励ましのコメント、お星様、いいねボタンなど、お気軽にいただけると幸いです(⌒▽⌒)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 『問題です。クマ国創世に関わった英雄神スサノオの股数を答えなさい』 カムロ「なんか出題に悪意を感じるんだが?」
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ