表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カクリヨの鬼退治〜追放された少年が、サメの着ぐるみ少女と共に、勇者パーティに逆襲する冒険譚〜  作者: 上野文
第八部/第三章 遊戯用迷宮〝ウメダのすごいジャングル〟
534/793

第528話 桃太と紗雨の迷宮デート

528


「肝を冷やすアトラクションが満載じゃないか。た、楽しいし、訓練にもなるけど、期限の一週間どころか、一か月かけても探索が終わらないんじゃ?」

「カカカっ。わしが創った遊戯用地下迷宮〝U・S・Jウメダのすごいジャングル〟に抜かりはない。短期旅行者も想定して、エリアとエリアを結ぶ間には、チェック&ワープポイントを作ってあるのさ」


 二度目のゲームオーバーでスタート地点に戻された……、額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太いずもとうたの疑問に対し、鴉の濡れ羽がごとき黒髪が美しい迷宮の運営者、田楽おでんは赤いサマースーツから伸びる手で簡易地図を指差した。

 どうやら来客のために、一定階層ごとに朱印スタンプが押せて、転移装置が作動するお宮風の部屋があるらしい。


「なるほど、これを使えばスタート地点に戻されても、再チャレンジできるのか」

「桃太おにーさん。前とは別の道を探すサメエ」


 幸い四人までなら、チームを組んでも構わないというルールだ。

 桃太は、サメの着ぐるみをかぶった銀髪碧眼ぎんぱつへきがんの少女、建速紗雨たけはやさあめとコンビを組み、手を繋いで迷宮内部を巡った。


「すぐに降りるんじゃなくて、遠回りすれば良かったのかっ」

「罠に誘導する偽物階段を三つも用意するなんて、やりすぎもいいところサメエっ」


 桃太達はチェックポイントを発見後、何度か死に戻りならぬ、ゲームオーバーとコンティニューを繰り返し……。

 遂に罠フロアを避けるルートを発見、本物の次階層へ移動することに成功した。

 

「よし抜けたぞ。今度はミラーハウスなんだ? 紗雨ちゃん、いろんなエリアがあるんだね」

「サメエ、サメエっ。桃太おにーさんと一緒に遊べて楽しいサメエ。このアトラクション、世界に二人きりみたいでドキドキするサメエ……」


 桃太と紗雨にとってラッキーなことに、ウメダのすごいジャングルは、デートスポットとしても十分な娯楽施設に満ちていた。


「次の階層は、トロッコ探検コースだって。紗雨ちゃん、一緒に入ってみる?」

「サメっ。揺れて、ワクワクするサメエ」

「光るコケとか、黒い岩肌とか。飛ぶように景色が流れてゆくなあ。って、目の前に大穴あ!?」


 二人でトロッコに乗って、坑道めいたコースを走ったり――。


「穴に落ちたと思ったら、あれが正規のゴールだったのか。まったく心臓に悪い」

「三枚おろしの刺身にならずに済んで良かったサメエ。なんか豪華な部屋があるサメ?」


 落ちた先に待っていた、一面の観客席と舞台からなる劇場フロアで。


「あそこもここも、いっぱいぬいぐるみがいるなあ」

「可愛いけど、サメのぬいぐるみは無いんだサメエ?」

「開演のベルが鳴ったよ。ちょっと見ていこう」


 大小様々なぬいぐるみが演じる人形劇を見て和んだり――。


「ここは、足元に針が敷き詰められているのか。偽物みたいだけど、落ちたら痛そうだなあ。この階層のチェックポイントはまだ見つけていないから、振り出しに戻るのは避けたいし、どうしたものか」

「桃太おにーさん。天井の針にロープが結んであるから使うサメエ。ああいうの楽しいサメエ」

「よし、一緒にやろう」


 針の山を模したアスレチックフロアを、ターザンロープを駆使して突破したり――。


「紗雨ちゃん、髪が乱れちゃったね。手伝うよ」

「この櫛を使って欲しいサメ。こ、こそばゆいサメエ」


 桃太が紗雨の銀色の髪を櫛ですいたり――と。


(綺麗だなあ)

(嬉しいサメエ)


 二人は迷宮探索を通して、少しずつ距離を縮めてゆく。


「楽しいね」

「楽しいサメエ」

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

ブックマークや励ましのコメント、お星様、いいねボタンなど、お気軽にいただけると幸いです(⌒▽⌒)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] >桃太と紗雨の迷宮デート 遥花「難易度を”ナイトメア”に設定と」 心紺&遠亜「「承認!」」 そのころ迷宮内 昆布「急に難易度が上がったぞ!?」
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ