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第517話 必殺技の応酬!

517


「カカカっ。老いたというのに、情熱的じゃないかっ」

「僕より年上が言うことかいっ。お前の武器は破壊した。このまま倒してみせる」


 異世界クマ国の代表、牛頭を模した仮面をかぶる白髪の幽霊カムロの喝破かっぱに対し、赤いサマースーツを着た鴉の濡れ羽が如き黒髪が美しい女性、田楽おでんは艶然えんぜんと微笑んだ。


「そいつはどうかな、槍とは戦場の象徴。何本砕かれようとも、わしは再び作ることができる」

「ならばこちらも武装するまでっ」


 おでんは空中を漂う梵字ぼんじのような黒文字を固めて全長一メートルあまりの短槍を左右の手で組み直し……。

 カムロもまた先ほど発した八色の雷光から、火と雷の刀を形作って対抗する。


「おでんっ。これだけの力があれば、八岐大蛇だって討てるだろうにっ」

「カムロこそ、八岐大蛇を討ってどうする? その先の展望はあるのかい?」


 カムロは二刀流で炎と雷をまとう大円、小円を描く八連撃を繰り出し……。

 おでんは両手に握った槍で梵字ぼんじのような文字を空中へ刻み、都合八本の氷槍と岩槍を新たに生み出して八連撃を相殺した。


(ウメダに来て良かった。田楽おでんさんなら、カムロさんが目論んでいる、地球、異世界クマ国、異界迷宮カクリヨを永久分離させる構想を翻意ほんいさせられるかも知れない)


 額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太いずもとうたは二人の一歩も譲らぬ鍔迫つばせり合いを見てそう期待したが――。


「展望ならば、あるに決まっている。知りたければ教えようっ」

「いいや黙れ、聞きたくない。わしは二度と、世界存亡の戦いなどには関わらないと決めたのだから!」

「え、関わらないっ!?」


 桃太が信じがたい台詞を耳にして目を見張る中、クマ国を統べる男と過去の世界を知る女は激突。


「この頑固者めっ、頭を冷やせ」

「鏡を見て言え。わしの槍とおねえちゃんビームが織りなすロマン、その身で味わえ」

 

 カムロは、黒染めの紋付き袴(もんつきはかま)で大きく踏み込みながら、右手に莫大な衝撃波をまとわせ――。

 おでんもまた赤いサマースーツとロングスカートを閃かせながら文字を綴り、足元からあたかも蝶の群れが羽ばたくように、数百本もの槍を創出。穂先を輝せてビームの一斉発射態勢に入る――。


「二人とも大人気ないサメ。あぶないから、みんなすぐに離れるサメエエエエ」

「全員、傾注けいちゅう。退避します!」


 カムロとおでんの二人をよく知る、サメの着ぐるみをかぶった銀髪碧眼ぎんぱつへきがんの少女、建速紗雨たけはやさあめが警告を発し、責任者である栗色の髪を赤いリボンで結んだ担任教師、矢上遥花やがみはるかも後退を命じた。


「わかった。みんな、下がろう」


 桃太と冒険者パーティW・Aワイルド・アドベンチャラーズの団員達、地球からの来訪者がじりじりと後ろに移動しながら見守る中、ついにカムロとおでんの必殺技が放たれる!


「さあ幕引きと行こうか。〝生太刀いくたち草薙くさなぎ〟!」

「勝つのはわしじゃ。〝死と再生の夜祭り(ヴァルプルギスナハト)〟!」

あとがき

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[一言] ガルム(おでん食事中)「大人げないのは立ち入り禁止!」
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