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第481話 異世界クマ国観光のはじまり

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「つ、強すぎるっ。出雲以上に、先生がっ」

「そう、強すぎるのよ。今は教師と教え子だから、二人とも理性でギリギリでもちこたえているだけ。今のうちになんとかしないと、卒業と同時に即ゲームセットになっちゃう!」

「BUNOOO!?」


 額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太いずもとうたと、担任教師の矢上遥花やがみはるかが抱擁し、焔学園二年一組の面々が戦慄する中……。

 暴走したふんどし男達の一部を制圧した少女二人。サイドポニーが目立つ青いタンキニを着た乙女、柳心紺やなぎここんと、瓶底メガネをかけ赤いバンドゥトップビキニを身につけた少女、祖平遠亜そひらとあもまた、虎に似た式鬼ブンオーに並んで腰掛けたまま、眼前の光景に愕然としていた。


「「お嬢さん達、ボクとあの陰で涼まない?」」


 そんな心紺と遠亜の様子を見てチャンスとみたか、二人の足元で倒れる〝K・A・Nキネティック・アーマード・ネットワーク〟残党のナンパ師達一〇人が空気も読まずに声をかける。

 先ほど遥花を狙っていたところを倒されたにもかかわらず、めげない男たちである。


「どうしよう。遠亜っち、アタシ達も出雲に助けを呼んでみる?」

「勝っちゃったし、二番煎じをしてどうするの。それにここまで騒ぎになったら、警察兼護衛が黙っていないでしょう? 引っかき回したかった伊吹さんも満足したみたいだし」


 遠亜が心紺に語った推測は、すぐさま的中した。


「くおおおらあっ、貴方たち。何をしているんですか、逮捕です!」


 ニコニコ笑顔でダブルピースサインを決める昆布髪の少女、伊吹賈南いぶきかなんを檻付き天幕に残し……。

 幻惑から解き放たれた鴉天狗の葉桜千隼はざくらちはやが、囚人達の監視と生徒の護衛という任務を果たす為、背中の黒い翼をはためかせて、すっ飛んできたのである。


「矢上先生は大人だから保留しましたが、子供を対象とするなら別です。青少年育成法違反の容疑で、まとめて牢屋に叩き込みます! 後で汚した部分の掃除と壊した箇所の修復も手伝ってもらいますからね。束縛のふんどしよ、しめあげろ」

「「そりゃあ犯罪者相手の仕込みくらいしてますよね。オタスケー!?」」


 今更だが、元勇者パーティ〝K・A・Nキネティック・アーマード・ネットワーク〟のメンバーは地球と異世界クマ国の双方で指名手配され、拘束されている犯罪者である。

 入浴こそ許されたものの、彼らが身につけたふんどしには、当然ながら万が一のために戦闘力を奪うための保険が仕掛けられていた。

 おまけに千隼は、桃太&紗雨のコンビと互角に戦ったほどの猛者。いかにベテラン冒険者一〇人といえど、ふんどしで急所をしめあげられた状態では相手になるはずもなく、即座に制圧された。


「おう、お前たち、うちのメンツに泥を塗るとはいい度胸じゃねえか」

「勝手に〝影の使役術シャドーサーバント〟まで使ったんです。指の一本や二本じゃ済みませんよ」


 また素直に逃げ帰ったり、川下まで流された団員二〇名も無事で済むわけがない。


「「ひょえええっ。改めて我々って本当に勇者パーティなのか?」」

「「痴漢がいうなっ!!」」


 破廉恥漢達は、隊長の索井靖貧さくいせいひん郅屋豊輔しつやほうすけたちにボコボコにされ、簀巻きの逆さ吊りにされて処分された。


「千早さんももうちょっと早く、と思うけど、伊吹さんに足止めされていたなら仕方ないかあ。チンピラ達もしめられて警察が側にいるから、もう安全かな」

「ハレンチな人達が本当に懲りたのかはあやしいけれどね。少なくともこの三日間は大丈夫でしょ」


 二人は顔を見合わせて、覚悟を決めたように頷いた。


「ライバル、多いね」

「気合い入れ直そう」


 心紺は胸の前で手を強く握りしめ、遠亜は丸いメガネをキラリと光らせる。

 そう、異世界観光はまだ始まったばかりなのだ。

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] >簀巻きの逆さ吊りにされて処分された 結局吊られて茹でられてるじゃないですか、ヤダー
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