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第478話 矢上遥花の災難

「あ、あの……、わたしには、心に決めた人がいるのでお断りします」


 栗色の髪を赤いリボンで束ねた女教師、矢上遥花やがみはるかは、元勇者パーティ〝K・A・Nキネティック・アーマード・ネットワーク〟所属のふんどし男達三〇人の誘いを丁寧に断るが……。


「そ、そこをなんとか!」

「死ぬ前に貴方と結ばれれば、悔いはない」

「や、やめてください」


 遥花の白黒のビキニで支えれらた釣り鐘のように豊かな胸や、同色のショーツに彩られたまろやかなお尻は、彼らの男心を奪うに十分であり、ナンパの勢いはあたかも砂糖にたかるアリのようにとまらない。


「矢上先生が危ないっ」


 瓶底眼鏡をかけた赤い水着姿の祖平遠亜そひらとあは、川面で紺色のボートに揺られながら情勢を見守っていたものの、これ以上は見過ごせないと左手で親友、柳心紺やなぎここんの手を掴み、左手で念の為に持ち込んでいた愛用の内部空間操作鞄アイテムバックをひっつかんだ。


「そうだね遠亜っち。すぐ先生を助けにいこう。さすがに〝鬼神具〟を戦闘に使うわけにはいかないし、〝砂丘デューン〟はここに置いておこう。ブンオー、お願いねっ」

「BUNOO」


 そして心紺もまた濡れたサイドポニーと青いタンキニから水をはねとばしながら親友の手をひいてボートを飛び出し、琥珀色の毛並みが水でしぼんだ式鬼ブンオーに飛び乗った。


「矢上先生から離れて」

「嫌がってるじゃん。わからないの?」

「BUNOO!」


 二人と一体はわらわらと集まったパンツ男達の群れに川側から飛びこむや、遠亜が鞄を振り回して牽制。

 心紺をのせたブンオーが体当たりして、集団を蹴散らそうと試みた。


「ええい、ちんちくりんの子供が邪魔をするな」

「お前達も美人だが、三年早い。その程度の魅力、ではない式鬼しきおにでは、我々の崇高な理念(したこごろ)は止められない」

「……ぶっ飛ばす」

「……たたきつぶす」


 心紺と遠亜は怒りに燃えるものの、元勇者パーティの一員だけあって半裸男達は強く、人並はずれたパワーを誇る式鬼ブンオーを相手にも一歩も引かずにとっくみ合った。


「まずい、数の差が圧倒的だし、パワーじゃ勝てない。援軍はいないの?」

「心紺ちゃん、大丈夫。ちょうど反対側から、出雲君達が来たよ」


 そうこうしているうちに、水泳訓練をしていた額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太いずもとうた、サメの浮き輪を持った銀髪碧眼ぎんぱつへきがんの少女、建速紗雨たけはやさあめ、スクール水着を着た六辻詠ろくつじうた、オレンジ色のビキニ姿の呉陸羽くれりうらが異常に気づいて駆けつけた。


「サメエエっ、なにやってるサメエエ」

「コケケ、は、はれんちですわあ」

「い、いけませんよお」


 しかしながら、四人もまた遥花まで辿り着く前に、半裸男達に囲まれてしまった。


「ふふふ、この筋肉の壁を突破できるかな」

「いや、前は後ろと交代しろよ」

「むしろサメの浮き輪で叩かれたいから代わって!」


 紗雨達は浮き輪を盾に道をこじ開けようとするものの、遠亜と心紺が一〇人を引き付けてなお、二〇人ちかい半裸男達が押し合いへしあいしていては、遥花に近づくこともままならない。


「みんな、任せてくれ。こうなったら、上だっ」

「桃太くんっ!?」


 そんな中、黒一点の少年は、足裏で衝撃波を爆発させて空中を滑空。


「遥花先生に触れるなっ」


 桃太は、遥花をみっちりと包囲して口説く三〇名のふんどし男のうち、最前列で胸に触れようとした不届き者に背後から組みつき、米俵をかつぐように持ち上げて川の中へドボンと投げ入れた。

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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[一言] >「むしろサメの浮き輪で叩かれたいから代わって!」 おい
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