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第477話 ふんどし男達の暴走

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「「矢上遥花やがみはるかさん、私と交際してください」」

「えーっ」


 焔学園二年一組の担任教師、矢上遥花は、元勇者パーティ〝K・A・Nキネティック・アーマード・ネットワーク〟の団員である、中年のふんどし男三〇名に取り囲まれ、熱烈な告白を受けてしまう。


「「連絡先の交換をお願いします」」

「「あちらで一緒に涼みませんか?」」

「あ、あわわ」


 栗色の髪を赤いリボンでまとめた遥花の白い首筋や、黒白のビキニで吊った大ぶりのメロンのように豊かな胸元。三角形のショーツが覆われた、輝くばかりに魅惑的なお尻と太ももは、川湯温泉に濡れて美しさを増し、目を奪われるのも無理はないだろう。


「皆さん、わたし達は日本国から異世界クマ国へ派遣された使者です。そういうのはちょっと……」

「「関係ない。人と人して(えちいしたいから)話しています」」


 遥花は冒険者パーティ〝W・Aワイルド・アドベンチャラーズ〟の団員だが、今彼女を取り囲んでいる男達は、地球日本とクマ国の双方で指名手配された元勇者パーティ〝K・A・Nキネティック・アーマード・ネットワーク〟の団員だ。

 逮捕されて観察中の拘留者こうりゅうしゃが勝手なナンパなどすれば、異世界クマ国の治安維持組織、防諜部隊ヤタガラスの隊員である鴉天狗からすてんぐ葉桜千隼はざくらちはやがだまっているはずがないのだが……。


「あばばば。紗雨姫から出雲様を奪うだなんて、でも禁じられた愛って惹かれてしまうかも?」

「アハハ。さあ我が手でダンサブルに踊るがいい」


 が、その千隼は生真面目なのが災いし、檻の中に入れられた八岐大蛇の首の一人、伊吹賈南いぶきかなんによってからかわれ、まさかの前後不覚に陥っていた。


郅屋しつや、オヤジの体をもっと丁寧にふけよ」

索井さくいこそ、もっとちゃんと支えてください」


 加えて、〝K・A・Nキネティック・アーマード・ネットワーク〟まとめ役の索井靖貧さくいせいひん郅屋豊輔しつやほうすけは、先の戦いで吸血竜ドラゴンヴァンプに手足を喰われたパーティ代表、七罪業夢ななつみぎょうむの看護につきっきりになっていて、部下の暴走に気づかなかった。


「きゅう」

「ナーっ、ニャーッ」


 更には、目ざとく周囲を観察し男気を発揮する健康優良不良少年、五馬いつまがいも、エロ本みたいな失言が祟り、温泉に蹴り落とされてノックアウト。

 三毛猫に化けた幼馴染の少女、三縞凛音みしまりんねに介抱されている始末だ。


「あつい、のぼせた」

「太陽の下で動きすぎた」

「温泉ってすごいねえ」


 加えて、ウォータースライダー製作に青春をかけた焔学園二年一組の生徒たちもはしゃぎすぎた反動か、のぼせてダウンしていた。

 通常ではあり得ない状況により、セイフティネットはあっさりと突破されてしまったのだ。


「こま、困ります」


 遥花は一瞬だけ、栗色の髪を束ねるリボン〝夜叉ヤクシニーの羽衣〟で反撃を考えたが、使者として訪ねたクマ国で〝鬼神具〟を使用するのはためらわれた。


「「さあ、一夏の思い出をともに」」


 不幸中の幸いか、彼女を囲む半裸男達も、カムロの梅干しを口にしたことで浄化され、いまはまだ強引な行為に出るのではなく、あくまで口説きによるナンパに徹しており、過剰防衛になりかねなかったからだ。

 とはいえ、ふんどし一丁半裸姿のむくつけき男達の標的となった遥花はたまったものではない。


「あ、あの……、わたしには、心に決めた人がいるのでお断りします」

あとがき

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[一言] >「「関係ない。人と人して(えちいしたいから)話しています」」 ガルム「門神起動」
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