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第465話 スリルジャンキー

465


「出雲。旅行先でやるなら脱衣麻雀一択だろう。カムロって人が色々とテーブルゲームを用意してくれたらしい。宿の土産物コーナーで麻雀牌まーじゃんはいを買ってきた」

「フッ、日和ひよるんじゃないぞ」


 額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太いずもとうたは、モヒカンの雄々しい友人、林魚旋斧はやしうおせんぶに誘われるがまま、関中利雄せきなかとしお羅生正之らしょうまさゆきといった男子組と共に、チキンランめいた度胸試しを始めた。


「先生は今から、宿の女将さんと話をしてきますので、皆さんはゆっくり休んでくださいね」


 ちょうどお目付け役だった担任教師の矢上遥花やがみはるかが出かけたこともあり、あらかじめ持ち点がなくなるか、最下位になると着衣を一枚脱ぐという、スリルを重視したルールでゲームが始まったが……。


「ツモ! |立直一発自模平和断么一盃口りーちいっぱつめんたんぴんいーぺーこう!」

「やるな。だが、次にあがのはこっちだ。ロン! 国士無双こくしむそう!」


 桃太を含めて負けず嫌いのメンバーが揃っていたために全員が熱くなり、ノーガードで高得点を狙う潰し合いへと発展した。


「ぬーげ、脱げっ」

「おうとも」

「全裸まであと二枚いける!」

「鍛えたこの体に恥ずかしいところなどない」


 同性で脱衣麻雀しても得がなくない? と気づく者は、残念ながら一人としていなかった。

 桃太達はやる気満々、羞恥心しゅうちしんをすっ飛ばしてポンポンと脱いでいったが、そのような乱痴気らんちき騒ぎがいつまでも許されるはずがない。


「こらっ。いけませんよ」

「「あいたっ」」


 四人全員がほぼ全裸になったところで、部屋に戻ってきた遥花によってリボンで縛り上げられ、こっぴどく叱られた。


「桃太くん。林魚君、関中君、羅生君。ここは、異世界クマ国です。地球日本の使者として、節度を守ってくださいね」

「「ごめんなさい」」


 遥花の前で晒し首にでもされたかのようにこうべを垂れる九割裸の桃太達を見て……。


「眼福サメー」

「いいですよね。こほん」

「うんうん。早く味わいたい。って、妾だけ場違いじゃない?」


 サメの着ぐるみをかぶった銀髪碧眼ぎんぱつへきがんの少女、建速紗雨たけはやさあめと、山吹色の髪を三つ編みに結った一年女子、呉陸羽くれりう。昆布髪に戻ってしまった伊吹賈南いぶきかなんが、部屋に積み上げられた布団の陰から覗き見ながら目を輝かせていたので、得した者は確かにいたのだろう。


「濡れタオル、濡れタオルを準備しないと」

「香水も残り少ないなあ」

「リバーシ、将棋、チェス、囲碁みたいなゲームが並んでいた隣に化粧コーナーがあって、バラ水とかヘチマ水って名前で売ってたよ」


 さて、紗雨達が出歯亀でばがめに興じている一方……。

 サイドポニーの目立つ元気娘、柳心紺やなぎここんや、瓶底メガネをかけたショートボブの乙女、祖平遠亜そひらとあら、複数の女生徒が集まって秘密裏に打ち合わせていた。

 彼女達は寝る前に枕投げで体を動かしこともあり、汗や体臭を懸念していたのだ。


「そういやがい、昨夜は入れなかったけど、この旅館にお風呂はないのかな?」


 そんな女生徒達の懸念を知ってか知らずか、ようやく説教から解放された桃太が尋ねると、クマ国に詳しい金髪少年、五馬乂いつまがいと、彼が愛でている三毛猫に化けた少女、三縞凛音みしまりんねから、思いもよらない答えが返ってきた。


「ああ、相棒。この旅館の風呂は屋外にあるんだ。昨夜入れなかったのは暗くてデンジャラスだったからさ。一五〇人だって入れるビッグスケールなんだぜ!」

「ニャン(きっと驚くわよ)」

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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[一言] >部屋に積み上げられた布団の陰から覗き見ながら目を輝かせていた 漢剣鬼「ヤダ、負けちゃった☆(ポーズをとりながら)」
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