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第447話 必殺技コンビネーション

447


「戦闘機能選択、モード〝狩猟鬼バルバトス〟戦闘続行!」


 氷結魂鬼ひょうけつこんきネビロスとなった祁寒きかん鼠弘そこうが放つ氷結のブレスと、炎上する陣地の残骸が反応して膨大な水蒸気が発生。

 冒険者パーティ〝G・Cグレート・カオティックH・O・(ヒーローズ・オリジン)〟とテロリスト団体〝SAINTS(セインツ)〟、両軍の視界がもうもうとけぶる濃霧に閉ざされた瞬間。

 出雲いずも桃太とうたの親友、くれ陸喜りくきこと黒騎士は、左目の眼帯に刻まれた絵柄を槌から弓に変え、右の義腕から黒々と光る銃身を引き出した。


「音、空気の振動、生命力を感知すればいい。索敵能力に長ける鬼――〝狩猟鬼バルバトス〟であれば、霧による視界の制限なんて無いも同然。こういう虚をつく戦い方は、トータの領分なんだがな。射撃と飛行盾の連続攻撃コンボをくらえ」


 黒騎士は、ギラギラと光るマズルフラッシュを炊きながら右腕の銃正面から銃撃して、ネビロスの注意をひいて。


「馬鹿め丸見え、ぐわああっ、つ、つばさがああ」


 これまで防御に使っていた、全長三メートルに及ぶ空飛ぶ盾を攻撃に転用。

 壊れて刃のように研ぎ澄まされた箇所を、標的の背後にあるコウモリめいた翼の左半分に直撃させ、断ち切った。


「空を飛ぶ時間は終わりだ。ロケット拳骨げんこつ!」

「ごわあああ。おちる、おちてしまうっ」


 更に黒騎士はサイボーグである義腕を飛翔させ、鋼鉄の左拳がネビロスの土手っ腹をかすめつつ、右翼に大穴をあけて墜落させる。


「ナイスアシストだ、黒騎士。燃えよムラサマっ」

「アッチアチのホームランはいただきでちっ」


 その落下点で待ち受けるのは、冒険者パーティ〝G・Cグレート・カオティックH・O・(ヒーローズ・オリジン)〟のリーダー、鉛色髪の巨漢青年、石貫いしぬき満勒みろくと、鉄塊を連想させる彼の愛刀ムラサマだ。

 彼らはバイクを降りて、あたかも野球のバッターボックスにでも立ったかのようにぶんぶんと素振りをする。


「ま、まて、なにをする気だあっ」

「ハネネズミ、わかっているだろう。こうするのよ!」


 満勒渾身の一撃はネビロスを直撃し、ネズミのような剛毛と鱗めいた装甲をぐしゃぐしゃに砕いて炎に包み、高々と空中にうちあげた。


「があああ。まだ、だ。こうなったら、一人でも多く道連れにしてやる。自爆して皆殺しだあっ」


 火だるまになった鼠弘そこうは、ボロボロになった鬼面を掴みながら、最後の力を振り絞り、全身から冷え冷えとした赤い光を放つ。


「「あああ」」


 炎が消えて、人もバイクも陣地の残骸も、光に触れたものは全て凍てついてゆくが……。


「ここがジョーカーの切りところってな。――奥義開帳おうぎかいちょう・〝魔竜咆哮(ドラゴニック・ロア)〟!」


 満勒は、大剣から放たれる爆発的な〝鬼の力〟で、氷雪地獄跡地の地面を引き裂きながら、人間の足にもかかわらずバイクにも負けないスピードで疾走し、跳躍。

 空へと駆け上がりながら、鼠弘そこうの毛むくじゃらの肉体を真っ二つに両断した。


「幕引きの時間だ。〝最後の魔弾(フライクーゲル)〟!」


 そして、黒騎士は左目を赤々と光らせ、右腕から伸ばした一〇〇センチを越える長銃で追い討ちし、悪鬼の心臓部と鬼面を撃ち抜いた。


「キーキーッ。こんな、こんなあ」


 どうしようもない悪党だった祁寒きかん鼠弘そこうは、砕けゆくネビロスの鬼面から断末魔の悲鳴をあげながら、赤黒い霜になって消えた。

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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[一言] >わかっているだろう。こうするのよ! 満勒「祖平ー!俺からの思い受け取ってくれ」
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