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第443話 逆転劇

443


 冒険者パーティ〝G・Cグレート・カオティックH・O・(ヒーローズ・オリジン)〟が、大型バスに似た車両ホバーベースで陣地上空を飛び越えるというまさかの突破口をついたのに対し……。

 異界迷宮カクリヨの第八階層〝残火ざんかの洞窟〟に建てられたテロリスト団体〝SAINTS(セインツ)〟の拠点、〝豹威館ひょういやかた〟城主、祁寒きかん鼠弘そこうは狂ったように喚きながら部下の尻をけり、矢に銃弾、氷柱、それを合わせた大規模攻撃を、機関砲のように撃ち出した。


「車両の下を狙え。車体を浮かせるための熱風を吐き出す噴射口があるはずだ。それに窓、車体後部のエンジンもだ。完膚かんぷなきまでに破壊しろおおっ」

「道子さん、戻ってくれ。やはり、この対空射撃を相手に、空から接近するのは自殺行為だ」


 鼠弘そこう達の狂乱した反撃を見て、黒騎士は思わず叫んだものの――。


「黒騎士君、心配ご無用。私の〝鬼神具〟は〝ツジカミの石碑せきひ〟。ツジカミとは、九州などに伝わる道路に出没する魔の総称です。街路樹がいろじゅに当たって怪我をするなんてよくある事故でしょう? 貴方が使う空戦機動、〝木の葉落とし〟のような回避力はありませんが、そもそも豆鉄砲など通じません」


 ライダースーツを着た炉谷ろたに道子みちこは、ハンドルを握りながら自信満々に断言。

 彼女の言葉通りに、空中を走るホバーベースは、戦士ウォーリア隊が射る矢を車体下部に絡みつく蔦(つたで受け止め……。

 鬼術師ソーサラー隊が放つ氷柱を窓を覆う無数の葉でつつみこみ……。

 カンガルーめいたシルエットの式鬼しきおに野鉄砲のでっぽうがエンジンを狙って吐き出す銃弾を丸みをおびた植物の鎧で逸らし……前進する。


「道子ちゃんばかり目立ってずるいのお。わしも負けてはられんぞ!」


 さらには、助手席に座る着物姿の老人、六辻ろくつじ久蔵きゅうぞうが口を挟み、空飛ぶホバーベースの下部で回る鬼の顔を模した四つの車輪を取り外して落下させ……。


「我が〝鬼神具きしんぐ・ワニュウドウの像〟とは、夜な夜な街を徘徊はいかいするという車輪姿の妖怪、輪入道ワニュウドウを模したものでな。複製端末コピーを作って使役することができるゆえに、自爆戦術とは相性がいい。さあアッチアッチの逸品を馳走しようぞ」

「なん、だと?」


 鼠弘そこうが、黒い翼と着込みすがた防寒具のせいで、あたかもペンギンのごとき間の抜けた反応を返す間にも、彼の命令通り果敢に攻撃していた陣地から、四本の火柱が立った。


「「ぐえーっ!?」」

「「BA、BAN!?」」


 天を焦がすような炎の塔を中心に、円状に膨れ上がってゆく爆風は、およそ一〇キロに及ぶ氷の防衛陣と、それを守る団員と式鬼達を薙ぎ倒す。


「ガチョウだかザクだか忘れましたが、奪取した〝禁虎館きんこやかた〟の元城主が、城塞内部に爆薬製造装置を用意してくれていたので手間が省けました」

「たっぷり持ち込んだ爆薬を、頭の固いナルシストどもにプレゼントフォーユーってやつよ!」

「おのれ孟利もうり兄弟! あの奸賊かんぞくどもは、死んでなお天才たる私の足を引っ張るか!?」

「「ギャーっ、おたすけええ」」


 道子が空飛ぶホバーベースを操りながら飄々(ひょうひょう)と事情を明かし、久蔵が自慢げに勝ち誇ったのに対し、鼠弘そこうは責任を他者に押し付けながら食ってかかったものの……、たった今爆撃を受けているテロリスト団体〝SAINTS(セインツ)〟の団員達は、それどころではなかった。

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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[一言] >ワニュウドウの像 つまり、自爆特攻用パン〇ャンドラム? 牛仮面(遠い目)
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