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第390話 吸血竜との激戦

390


がい桃太とうた君と貴方の短剣を見て、ショックを受けるのはわかるわ。孝恵たかよし校長も奥さんについて言っていたもの。そう、これがネトラレというものねっ!」

「オーマイガッ、オレに短剣と寝る趣味はなーい。オーケー相棒。一旦退く」


 勘違い不良ファッションに身を包んだ金髪少年、五馬いつまがいは、相棒たる出雲いずも桃太とうたが預けた短剣を自身以上に鮮やかに使っていることに大きな衝撃を受けていた。

 が、三毛猫に化けた幼馴染の少女、三縞みしま凛音りんねが的外れなツッコミを入れたことで吹っ切ったらしい。

 二人はイチャイチャと睦みあいながら冒険者パーティ〝W・Aワイルド・アドベンチャラーズ〟に合流すべく、峡谷の狭間から後退を始めた。


「あんにゃろう、リンさんとの仲を見せつけやがって。あとで覚えてろ」

「GAAA」


 桃太は、そんな二人を守るべく、乂より借り受けた黄金に輝く短剣を振るって、空から地にたたき落とした全長五メートルに及ぶ巨大竜、八岐大蛇やまたのおろち・第七の首たる吸血竜ドラゴンヴァンプと斬り結んでいた。


「そういえばファフ兄さん、乂は貴方が短刀の中に居ることを知っているんですか?」


 桃太が、自らが握る短剣に問いかけると……。


『誰かが中にいることは気づいているだろうけど、会話をしたことはないなあ。彼、桃太君より危ういもの。軽々には明かせないさ』


 短剣に宿る意思、八岐大蛇・第五の首である隠遁竜いんとんりゅうファフニールは、困ったような低い語調で応えた。


「ああ、確かに乂は激情家だものなあ」

『はっきり言って彼は短気だよ。桃太君、戦場に集中しよう。ドラゴンヴァンプは応急処置をしたようだが、喉と胸を潰してブレスを封じたし、前足も一本落とした。焦って影の武器で攻撃してくるだろうから、その隙をついて後ろ足を狙うといい。敵の詳細な戦闘力が不明な以上、まずは身の安全が最優先だ』

「わかりました!」


 桃太はファフ兄の分析に頷き、巨竜が振り回す尻尾をくぐり抜ける。

 更に黄金色に輝く短剣で、空中にばら撒かれた影の剣や槍を切り伏せながら接近、後ろ足の切断に成功する。


「やったぞっ」

「GYAAAAAA!」


 いかな八岐大蛇の首のひとつであっても、喉と胸と手足に深手を受けては、ままならないのだろう。

 吸血竜ドラゴンヴァンプは悲鳴のような絶叫をあげながら地面を離れ、一旦空に退避することで桃太を振り切り、スライムのようにうごめく血を滴らせながら、負傷部分を修復し始めた。


「GAAAAAAAA!!」


 おまけに爪で岩肌をバターのように切り裂いて、巨大な土と石の塊を投げつけて猛攻を再開したではないか。


「扱いきれない〝影の使役術(シャドーサーバント)〟はやめて、純粋な質量攻撃に切り替えたのかっ」

『人間は飛行機がないと飛べないから、爆撃を続けられると厄介だね。蛇口をもう少し緩めて、と』


 桃太のぼやきに、ファフ兄は軽口を叩きつつ、短剣が発する光を強めた。


「業夢さんが使っていた輸血パックはないんだ。吸血竜ドラゴンヴァンプだって無制限に力を使えるわけじゃない。ファフ兄さんの助力もあるし、あと少しで倒せるはずだ」

『そう、だといいけどね。アイツの元になっただろう、一千年前の竜に覚えがあるけど、極めて頑健だったからなあ。楽観は禁物だよ』

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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[一言] >リンさんとの仲を見せつけやがって。あとで覚えてろ 乂「人の短剣奪いやがって。あとで覚えてろ」
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