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第373話 不撓不屈

373


「そうとも、ここからだ。〝憑依解除(リムーブマスク)〟!」


 七罪ななつみ業夢ぎょうむを飲み込んだ、八岐大蛇やまたのおろち・第七の首、吸血竜ドラゴンヴァンプがブレスを放つ直前――。

 額に十字傷が刻まれた少年、出雲いずも桃太とうたと、彼が被る仮面に変化していた金髪少年、五馬いつまがいは変身を解いて、上下から竜の懐へと入り込んだ。


「GAAA」


 桃太は、腕に巻きつけた衝撃の刃を全長五メートルの空飛ぶ怪物に叩き込むものの……。

 竜の血にまみれた鱗は、衝撃を拡散させて無力化する効果があるのか、まるで効果が見られない。


「七罪業夢、その装甲はたいしたものだが、これならどうだっ。我流・鎧徹よろいとおし!」


 そこで桃太は、ドラゴンヴァンプのツノを掴んで衝撃波を浸透しんとうさせた。


「GAAA!?」


 さしものドラゴンヴァンプもこれには耐えきれず、口腔に溜めたブレスのエネルギーを霧散させる。

 しかしながら、同時にゲル状の血液塊に変身して、全身を揺さぶる衝撃波すらも受け止め、再び元の姿へと戻る。


「GAA」


 さすがにダメージ自体はあるようで、以前より一回り小さくなっているが、ドラゴンヴァンプの生命力と耐久力は前代未聞ぜんだいみもんだ。

 おまけに高速で移動するから始末におえず、なによりも恐ろしいのは、戦闘スキルが、飛躍的に向上し続けることだ。


「くそ、さっきから進化しているのか、戦い方が上手くなってる。これじゃあドラゴンというよりスライムじゃないか? がい、ブレスは止めた。効いてはいるけど、手応えが薄いっ!」

「グッジョブ! 相棒、衝撃の効きにくいゼリーには、焼き切る光の方が効きそうだ。リンっ、準備を頼むっ」

「ニャー(あの技を使うのね)」


 乂は、自身の肩に乗った三毛猫に化けた少女、三縞みしま凛音りんねになにやら呼びかけつつ、右手で腰帯に差した短刀を引き抜き、太陽の如き光で大地を照らす。


「GA!?」

「相棒が使う衝撃波を腕に巻きつける技、〝我流・長巻ながまき〟と、メガネ娘、祖平そひら遠亜とあが杖で再現した〝鬼術・長巻改〟が、ヒントをくれた。リーチが足らなきゃ伸ばせばいいってな。そして、業夢の部下達が〝影の使役術(シャドーサーバント)〟でやったように、返り血を浴びなければ、吸血で回復される心配もない!」


 乂は短剣に風をまとった光の刃を形成。

 物干し竿のようにぐんぐんと伸ばし、空飛ぶ竜の手足をぶった斬る。

 これには、衝撃を弱める血に濡れた鱗も意味をなさない。


「流石は、乂さん。五馬の姓は伊達じゃないっ」

「え、映画で見た奴だ。あの鬼神具、ライトセイバーとかビームサーベルの真似事もできるのか!」


 乂の活躍を見て、研修生や鴉天狗達が黄色い声をあげる。


「GAAAAAAAAA」


 四肢の一部を失った吸血竜ドラゴンヴァンプは再び血の塊に変身して復活するが、吸血でエネルギーを補えないのが響いたか、再び一回り縮小して再生した。


「シャシャシャっ。このまま輪切りにしてやるぜ!」

「GA!」


 乂はそう言って意気込んだものの、次の一撃は突如出現した影の装甲に阻まれた。


「こいつは、ジジイが使いこなせなかった〝影の使役術(シャドーサーバント)〟の鎧、〝七つの大罪〟じゃないか。まさかっ!?」


 ドラゴンが生み出す影の武具は、当然ながら鎧兜だけにとどまらない。


「GAAAAA!」


 剣、槍、ハサミ、槌といった武器を何百個と作り出した。


「こいつ、さっきから学習してやがる。吸血竜ドラゴンヴァンプは、人間の技、〝勇者の秘奥〟すらも使えるのか!?」

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] >ドラゴンというよりスライムじゃないか 獺(抗議のボディブロー) スライム娘(どや顔)
[一言] 桃太の台詞はファンサービスでしょうか(^▽^) ドラゴンヴァンプが悪徳貴族で猛威を振るったブラッディ・スライムに似ているような発言! 世界観を共有しているということですし、私としては思わずニ…
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