表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
316/794

第311話 三縞凛音を知る三人

311


「そして、がいと同じく案内人を務めるネコのリンよ。クマ国はワタシのような意志をもつ獣や、妖怪みたいな格好の住民がいるから気をつけて」

「「な、なんだって!? 情報量が多い!!」」


 西暦二〇X二年七月一三日。

 額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太は、相棒である金髪少年、五馬いつまがいと、三毛猫に化けた三縞みしま凛音りんねが、ホームルーム中のクラスメイト達に受け入れられるのを見て、重い荷物をおろしたかのようにほっと息をついた。


「もう大丈夫、かな。……あいたっ」


 が、その直後、肩と背中を力いっぱいに掴まれた。


「そうか、ところで出雲。あの猫ちゃんの正体について、詳しい話を聞きたいんだが!」

「あの三毛猫は、〝S・E・I セイクリッド・エターナル・インフィニティ〟と戦った時からいたよね? 話を聞かせてもらいたいなあ」

「春に四鳴しめい啓介けいすけ――〝八岐大蛇やまたのおろち・第四の首〟と戦った時は、非常事態だから聞けなかったけれど、共に旅をするのなら見過ごせない。日本政府や冒険者組合は、〝彼女〟の生存を把握しているの?」


 桃太は、モヒカンが雄々しい少年、林魚はやしうお旋斧せんぶ、サイドポニーの目立つ式鬼使いの少女、やなぎ心紺ここん、瓶底メガネをかけて白衣を着た少女、祖平そひら遠亜とあの三人に詰め寄られ、タジタジとなった。

 彼ら三人は、元勇者パーティ〝C・H・Oサイバー・ヒーロー・オーガニゼーション〟に参加しており、桃太がレジスタンス活動を始めた頃からの付き合いなので……。

 〝C・H・O〟の代表だった三縞みしま凛音りんねの顔も、黒幕だった黒山くろやま犬斗けんとの手で、猫に似た鬼〝悪魔アイム〟に変化したことも知っているのだ。


「わかった、リンちゃんについて話すよ。俺達が〝C・H・Oサイバー・ヒーロー・オーガニゼーション〟を倒した後、日本政府とクマ国の間で交渉があって、三縞代表は表向き死んだことになっている。だから、今、あそこにいるのは三毛猫のリンちゃんだ」


 桃太は周囲に聞こえないよう小さな声で、三縞凛音の生存について語り始めたが、幸いにも級友達は乂や凛音と話すのに夢中で、聞こえていなかったようだ。


「サメー。桃太おにーさんが皆と一緒に、カムロのジイチャンにお手紙を持ってゆくのはわかったけど、ガイはどの〝転移門ワープゲート〟からクマ国に入るサメ?」


 修道服めいたサメの着ぐるみをかぶる、銀髪碧眼ぎんぱつへきがんの少女、建速たけはや紗雨さあめは級友を連れての帰郷が嬉しいのか、ヒレに似た袖をふりふり質問し――。


「まあまあ落ち着けよ、サメ子。それなんだが、異界迷宮カクリヨの第九階層〝木の子の谷〟を目指そうとおもうんだぜ」


 ――実弟のむちゃぶりで新冒険者パーティ〝W・Aワイルド・アドレンチャラーズ〟の水先案内人を務めることになった、彼女の幼馴染である五馬いつまがいを振り回していた。


「〝木の子の谷〟に一番近い里はヨシノだったサメ? クマの里へ向かうのに、ずいぶん遠回りするサメ?」

「アイキャントヘルプイット(どうしようもない)。過激な反政府団体の〝前進同盟ぜんしんどうめい〟が暴れ回っているからな。大昔に江戸幕府がやった鎖国さこく政策とか海禁政策みたいに、今やクマ国も地球や異界迷宮カクリヨとは通行制限中なんだぜ。連中の勢力圏なら通れなくもないだろうが、皆もルイ姉、いや、あの〝ビキニアーマーの女剣士セグンダ〟さんと鉢合わせするのは嫌だろ?」

「「絶対に別の道をいこう」」


 乂の問いかけに、セクシーな恐るべき鬼、セグンダの脅威を思い出した学友達が、即答したのは言うまでもない。

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

ブックマークや励ましのコメント、お星様、いいねボタンなど、お気軽にいただけると幸いです(⌒▽⌒)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] >皆もルイ姉、いや、あの〝ビキニアーマーの女剣士セグンダ〟さんと鉢合わせするのは嫌だろ? セグンダ「おや、つれない事を言うね」
[一言] ああ、猫が三縞凛音だと気付いた生徒もいるのですね。 この三人は、C・H・Oのクーデターで被害を受けなかったのが幸いでしょうか。 それにしても林魚旋斧は、最初は桃太のザマァ対象かと思いましたが…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ