表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
262/791

第258話 脅威、三連蛇城!?

258


六辻ろくつじ家と勇者パーティ〝SAINTS(セインツ)〟は、〝前進同盟ぜんしんどうめい〟の支援を受けて、異界迷宮カクリヨの第八階層、〝残火ざんか洞窟どうくつ〟に日本政府へクーデターを起こすための拠点を築いています。こちらは、がい兄さんが銀板形式ダゲレオタイプカメラで撮影した現場写真です」


 額に十字傷を刻まれた少年、出雲いずも桃太とうたは、乂の弟、五馬いつま碩志ひろしからA五サイズのガラスプレートに入れられた写真を三枚、見せられて、ごくりと生唾を飲み込んだ。

 モノクロの銀板には、〝残火の洞窟〟と名付けられた異界に相応ふさわしい火柱が立ち、ガスが踊り、溶岩が流れる雄大な景色と、黒白の入り混じる岩盤に築かれた複数の城塞が写されていた。


「へえーっ、ダゲレオタイプカメラって、最初期のカメラだよね。準備に数時間、撮影に三〇分くらいかかるんじゃなかったっけ?」

「サプライズ? 古いカメラだから、そう思うだろ。銀や銅を使うシンプルな形式のせいか、カクリヨ内部でも使えるし、光を遮ったり乾かしたりといった手間のかかる行程は、鬼術でフォローが効くんだぜ」

「サメッ、サメエ。カムロのジイチャンが便利だって広めていて、最近はクマ国でも流行っているんだサメエ」


 桃太は、黄色い浴衣を着た金髪少年、五馬いつまがいと、ジンベエザメの着ぐるみをかぶった銀髪ぎんぱつ碧眼へきがんの少女、建速たけはや紗雨さあめから、異世界クマ国に関する思わぬ事情を聞いて、目を丸くした。


「そ、そうなんだ。今が二一世紀って忘れそうになるよ」

「桃太君の言う通り、クマ国代表のカムロ様や、反政府組織の〝前進同盟ぜんしんどうめい〟が、色々と抜け道を探しているけれど、異界迷宮カクリヨとクマ国では、基本的に機械が使えないものね」


 更に白い猫耳と赤い猫目が愛らしい、白い花柄の浴衣を着た少女、三縞みしま凛音りんねが改めて指摘する中、桃太は銀板写真をまじまじと見直した。

 三つある写真の中央には、それぞれ中世の城郭に似た立派な要塞がそびえたち、周囲を無数の砦や見張り台が囲んでいる。

 そして、どうやら三つの城は、若干の距離をとりつつも、近い位置に並んでいるようだ。


「一番外側にあるのが、大型弓つきの見張り台をハリネズミみたいに建てた丘陵きゅうりょう。次に険しい山岳さんがく岸壁がんぺきの狭間に建てた強固な砦。攻め手が丸見えになる遮蔽物しゃへいぶつのない平原を抜けたら、本命の城かあ。ダンジョンの中にこんな城塞を三つもよく造ったものだなあ」

「資料によると、中央が本城である〝獰蛇城どうじゃじょう〟、北にあるのが〝豹威館ひょういやかた〟、南にあるのが〝禁虎館きんこやかた〟で、合わせて〝三連蛇城みつらのへびしろ〟と呼ぶのだそうです」


 桃太は、碩志から城の名称を聞いてカッコいいと感心するも、強烈な違和感を感じた。


「あれ、おかしくない? 機械が使えないのはずなのに、六辻家と〝SAINTS(セインツ)〟は、どうやって〝三連蛇城みつらのへびしろ〟みたいな拠点を築けたんだ? この鞄が軽トラック並の容量があるからといって、運べるのはせいぜい三〇〇キロちょっと。ピラミッドや古墳じゃあるまいし、重機もなしにあの規模の建物を作り上げるのは、さすがに力不足だろう?」

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

ブックマークや励ましのコメント、お星様、いいねボタンなど、お気軽にいただけると幸いです(⌒▽⌒)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] カメラはないのですか。 ケラウノスとの戦いは普通に中継されていましたし、サメ映画が流行っていたりするのは、鬼術の力ということでしょうか。 そう考えると、やはり鬼の力は便利な側面がありますね。…
[一言] >カムロのジイチャンが便利だって広めていて、最近はクマ国でも流行っているんだサメエ ああ、うん、昔に広めてたら大変なことになったでしょうしねぇ 画伯「これで、私の天才的な芸術を広めるのよ(絵…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ