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第251話 三縞凛音、幼馴染との再会

251


「り、リアリー? これってこの前拾ったエロ本のNTR展開に似てないか?」


 日焼けした黒い癖毛の少年、五馬いつま碩志ひろしと、白い獣耳が生えた少女、三縞みしま凛音りんね

 幼馴染二人が浴衣姿で抱擁ほうようを交わす微笑ましい光景を、もう一人の金髪ストレートの少年、五馬いつまがいはとんでもなく複雑な顔で見つめていた。


「乂、変なことを言わない」

「ソーリー(すまん)」


 額に十字傷を刻まれた少年、出雲いずも桃太とうたはすぐさま相棒をたしなめたが、彼の普段ではあり得ない反応に驚いていた。


(乂もこんな顔をするんだなあ)


 乂のもう一人の幼馴染であるジンベエザメに似た着ぐるみを羽織る銀髪碧眼ぎんぱつへきがんの少女、建速たけはや紗雨さあめは弱点を見つけたとばかりに、ノコギリ歯が描かれたフードの中で悪戯っぽく微笑んでいる。

 

「サメエ、ガイってば、桃太お兄さんが作った唐辛子入り饅頭でも食べたような顔サメエ……」

「あれ、自信作だったのになあ」


 最後に、栗色の髪を赤いリボンで結び、桜色の浴衣に袖を通した女教師、矢上やがみ遥花はるかは、そんな生徒達の様子を見て涙ぐんでいた。


「三縞さんはご無事だったんですね。先の戦いで死んでしまったかって、思っていたんですから」

「矢上さん。ごめんなさい。許してなんて言えないけれど、改めて謝罪するわ」


 遥花と桃太は、凛音が率いる元勇者パーティ〝C・H・Oサイバー・ヒーロー・オーガニゼーション〟が日本国へクーデターを起こした際に理不尽な追放を受け、レジスタンスを率いて反乱を阻止した過去があった。


「三縞さんのやったことは、確かに許されないことです。それでもわたしは、貴女が生きていてくれて嬉しいです」


 遥花は、事実上の戦死扱いとなっていた凛音をずっと心配していたのだろう。手を伸ばし、胸の中に抱きしめた。

 凛音はしばし、彼女に抱かれるに任せていたが、遥花が着た桜色の浴衣が包む豊かな胸にすっぽりはまった結果、六辻ろくつじうたに続いて窒息しかけてしまう。


「……ちょっと息が、ギブ、ギブアップ」

「遥花先生ストップ!」

 

 桃太に止められて、遥花は名残惜しそうに凛音を手放した後、咳払いして桃太に向き合った。


「三縞さんが仰った通り、今回の戦いでもっとも大切なのは、六辻ろくつじうたさんの生命。次に重要だったのは乂君と、三縞さんが勇者パーティ〝SAINTS(セインツ)〟の砦から入手したクーデター資料です。どちらも守り切ったのですから、大勝利です」

「そっか、そうだね。やっぱり俺たちの勝ちだ」


 桃太とうたは、担任教師である遥花はるかの解説を聞いて、ようやく勝利を実感できた。


「そうそう、勝ったんだからお祝いするサメエ。この黒いシュワシュワしたの大好きサメエ。ちゃんとゼロカロリーのを選んだから、太らないはずサメエ……」


 紗雨も場を和ませようとおどけてみせる。


「シャシャシャ。そうか、オレ達は、瑠衣るい姉さんに、いや偽物かも知らないが、飛燕返つばめがえしを使うセグンダに勝てたんだなあ」


 金髪ストレートの少年、五馬いつまがいは、命の恩人である二河にかわ瑠衣るいとの戦いを経て、思うところがあったのだろう。

 紙コップの中でゆれるオレンジジュースの水面を見つめた後、弟である黒い癖毛の少年、五馬いつま碩志ひろしの背中をばんばんと叩いた。


「碩志、お前のおかげだ。最後に一緒に戦えて、いい思い出が出来たぜ。五馬いつま家と〝N・A・G・Aニュー・アカデミック・グローリー・エイジ〟のことをよろしく頼む」

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 遥花先生にとって、凛音は上司にあたると思っていましたが、どうも違うようですね。 遥花先生がC・H・Oに居た理由も、どこかで語られるのでしょうか。 さて最後の言葉から察するに、落ち着いて来た…
[一言] >最後に一緒に戦えて、いい思い出が出来たぜ 碩志「え、何自分だけ逃げようとしてるんですか?当主にならないのは認めましたけど、自由にしていいなんて言ってませんよ」
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