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第244話 五馬乂と二河瑠衣

244


「わかりました、がい兄さん。家督の話はまた落ち着いてからしましょう」


 迷彩服を着た黒い癖毛の少年、五馬いつま碩志ひろしは、兄である金髪の長身少年、五馬いつまがいの返答を聞いて、悔しそうに唇を噛んだが、今は翻意ほんいさせられないと直感したのだろう。


「そういえば、乂兄さんを救ってくれた恩人、二河にかわ家の御当主で、勇者パーティ〝S・O (サベージ・オース)〟の代表だった瑠衣るい様は、どうされたのですか?」


 同時に、一〇年前の惨劇を生き延びたはずの、もう一人の行方が気になったようだ。


「瑠衣姉さんは、オレを異世界、クマ国まで送り届けた直後に力尽きて死んだ。死体は確認したし、葬儀そうぎの後に、代表のカムロが遺体を保存して地球まで送り届けるのを見た」


 乂は、相対するビキニアーマー姿の女剣鬼、セグンダが繰り出す剣や爪を必死の形相で避けながら、碩志に向かって頭を下げた。


「幼かったオレは、きっと瑠衣姉さんに惚れていたよ。今だって大切に思っている。だっていうのに、セグンダを名乗るこの女は、六辻ろくつじうたの偽物なばかりか、瑠衣姉さんの飛燕返(つばめかえ)しまで盗みやがった、ウルトラフェイクだ。この色ボケ鬼だけは見逃せない。碩志、倒す為に力を貸して欲しい」

「もちろんです」


 碩志ひろしは握った独鈷杵からビームソードのような赤い光刃を発生させて、兄である乂息を合わせてセグンダに斬りかかる。


「うーん。兄弟の再会は感動的だったけど、ウルトラフェイクとか色ボケ鬼とか、もうちょっとマシな口説き文句はないのかい?」

シャラップ(だまれ)。瑠衣姉さんは、テメェのような露出女と違って、すっげえ格好良くて、綺麗なオレの憧れだったんだ。その思い出を汚すんじゃない」


 乂は鬼気迫る表情で噛み付くも……。


「ファファファ。真っ正直な恋バナっていいよね。胸がドキドキするよ」


 セグンダは飄々(ひょうひょう)と返したため、乂の怒りは遂に沸点ふってんを超えたらしい。

 

「もう許さん。とっておきをくれてやる。碩志、ぶっつけ本番だがオヤジの技、〝二天一竜にてんいちりゅう天地鬼斬てんちきざん〟を使えるか?」

「ええ、もちろん。月はボクが受け持ちます。乂兄さんは太陽をお願いします。久方ぶりの兄弟共闘ですね」


 乂と碩志は息のあった呼吸で、切り札の攻撃を放つべく接近。


「リンちゃん、俺たちも一緒に行こう。我流・手裏剣!」

「ナー! (桃太君、頑張りましょう)」


 桃太と凛音も二人の後に続き、衝撃波をこめた石片を投げ、瞳から炎のレーザーを撃って支援する。


「良いだろう。五馬審の後を継ぐ兄弟と、新たな勇者と古い勇者が化けた猫。相手にとって不足なし。私も全力で受けて立とう!」


 セグンダは鬼面ごしにもわかる喜びの声をあけで、腰部にベルトで巻きつけた、壊れかけの蒸気機関の圧力を更にあげた。


「〝煙を吐く鏡テスカトリポカのかがみ〟よ、我に力を貸せ。エンジン全開!」

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] >死体は確認した 大丈夫?その判定人、王〇人じゃない? >テスカトリポカのかがみ ルチャ・リブレ愛好家の女神さまを召喚しないと(石を購入しながら)
[一言] 二河瑠衣の死亡は確認された。 どうしてでしょうか。こうして念を押されると、実は生きているのではと思ってしまいます(^_^; そしてやはり碩志は二天一竜・天地鬼斬を使えるようですね。 桃太に頼…
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