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第210話 ダイエットの結末と、新たなクーデター?

210


六辻ろくつじ家は今や、大小さまざまな派閥が利益を求めて互いの足を引っ張り合い、時には実力行使で蹴落とすことに注力しています。

 私の知る限り、当主であるうたさんの為に奮闘ふんとうしていたのは、炉谷ろたに道子みちこ先輩だけでした。そんな彼女が追われたならば、もはや派閥争いは収拾不能しゅうしゅうふのうなのかも知れません」

「どこもかしこも、ぐだぐだなんだなあ」

「そんなことを、やってる場合じゃないサメエ」


 栗色の髪を赤いリボンで結んだ担任教師、矢上やがみ遥花はるかによる八大勇者パーティの解説を聞いて――。

 額に十字傷を刻まれた少年、出雲いずも桃太と、白いジンベエザメの着ぐるみをかぶった銀髪ぎんぱつ碧眼へきがんの少女、建速たけはや紗雨さあめは失望し、ガックリと肩を落とした。


「「あ、でも、焔学園二年一組も色々あったね」」


 ついでに自分たちのクラスをかえりみて、背筋に冷たい汗を感じた。

 ほんの一ヶ月前まで、彼らの級友達もまた、八大勇者パーティに味方するか否かで、熾烈な派閥争いを繰り広げていたからである。


「焔学園二年一組は、四鳴しめい啓介けいすけや〝S・E・I セイクリッド・エターナル・インフィニティ〟との戦いを乗り越え、桃太くんと紗雨ちゃんを中心にまとまったので問題ありません。ええ、一丸となったのはいいことなのですが……」


 遥花の眼前には、明日の海水浴を前に、同じ望みを叶えるべく、揃ってラストスパートをかける生徒達の姿があった。


「「ダイエットおおっ」」

「「痩せるぞおおおっ」」


 誰もが一つの目的に向かって努力する姿は美しい。

 されど、百万一心ひゃくまんいっしんとなろうとも、目的を達成できるとは限らないのが現実だ。


「遥花先生。俺は五馬いつま碩志ひろしさんがこのキャンプに到着したら、六辻ろくつじうたさんや八大勇者パーティとの向き合い方について、相談しようと思います。それはそれとして、ダイエットって一日で終わりますか?」

「皆が楽しみにしている海水浴を、あまり先に伸ばすわけにもいきませんから」

「紗雨もちょっと走ってくるサメエ」


 泣いても笑っても日は傾き、やがてお風呂の時間がやってくる。


「「やった、やったよおおおっ」」

「「うわああん、変わってないいいっ」」


 体重計に乗った生徒達は、悲喜交々(ひきこもごも)の絶叫をあげることになった。そして、同時刻。


「た、たすけてくれええ」


 という、耳慣れない絶叫が森にほど近いキャンプの入り口で響きわたった。


「また悲鳴? 今度は誰だ!?」


 桃太とうたは、夕食用に作っていたおにぎりをプラスチック製弁当箱に入れて駆け出し――。


「やったサメ、やってやったサメ。痩せていたサメ。今の悲鳴、外からサメエエッ!」


 風呂から上がったばかりの紗雨さあめは、青い修道服に似たサメの着ぐるみに着替えて飛び出し――。


孝恵たかよし校長から預かった資金で、詠さんが冒険者パーティ〝Chefs(シェフズ)〟の食料をつまみ食いした分のお支払いは出来たし、お腹もへっこんだけど、胸のサイズは大きくなったまま……。これ、どうしよう。え、悲鳴?」


 遥花はるかもまた、濡れた栗色の髪をリボンで慌ただしく結び、ジャージ姿で現場に駆けつけた――。


「そこに居るのは、がいじゃないか!?」

「何をやってるサメエ!?」

「乂くん、ボロボロじゃないですか!?」


 助けを求めてキャンプに辿り着いたのは、三人とも縁深い少年、五馬いつまがいだった。


「すまん相棒、サメ子、リボン……遥花さん。手を貸して欲しい。六辻家と〝SAINTS(セインツ)〟のクーデター計画を調べていたら返り討ちにあった。それと、この格好の時は、ミスターシノビと呼んでくれ」

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 体重計に乗って喜んでいる生徒がいますが、それってサウナから出た時みたいに、水分が出ちゃっただけで水分を補充したら元へ戻るんじゃあ(^_^; [一言] これから五馬家が来るところに乂登場…
[一言] >体重計に乗った生徒達は、悲喜交々の絶叫をあげることになった 体重測定が終わったみたいなので、体重計の設定正しいものに戻しますね(実際より軽い数値が出るようにしていたものを直す)
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