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第177話 ゴルゴーンの猛攻

177


出雲いずも桃太とうた。わ、私はもはや手段を選ばない。自衛隊相手に使う予定だった、とっておきの切り札を見せてやる。お前達が悪いんだ、お前達が私にアレを使わせるのだ。くれ陸羽りう、いや蛇髪鬼へびかみおにゴルゴーン、やれええっ。お前の力で、この戦場にいるすべてを石に変えろっ」


 桃太達の参戦によって、焔学園二年一組と、勇者パーティ〝N・A・G・Aニュー・アカデミック・グローリー・エイジ〟は、テロリスト団体〝S・E・I セイクリッド・エターナル・インフィニティ〟を完全に押し返した。

 劣勢が明らかになった〝S・E・I セイクリッド・エターナル・インフィニティ〟の代表、四鳴しめい啓介けいすけはギャアギャアと喚きながら、全長一〇メートルに及ぶ鋼の巨大鬼、神鳴鬼かみなりのおにケラウノスの腹部ハッチを開き、二メートルほどの白い半人半獣めいた何かを落下させる。


「なんだ、あれは?」

「白い蛇?」

「四足歩行のイノシシ、いや馬?」

「赤い瞳?」


 ここに来ての新戦力投入に、敵味方を問わず。戦場にいる誰もが目を吸い寄せられた。


舞台蹂躙ぶたいじゅうりん役名変生やくめいへんじょう――〝蛇髪鬼ゴルゴーン〟! AAAAA!!」


 そして、蛇髪鬼へびかみおにゴルゴーンが名乗りをあげた直後、戦況は再び激変することとなる。


「……あ、が」

「……ひ、ひ」


 羅生らしょう関中せきなから焔学園二年一組の生徒の大半は、悲鳴をあげる時間すらなく肌から熱が失われ、パキパキと音を立てながら物言わぬ石像となった――。


「アレを直視ちょくししてはいけません!」


 幸保こうほ商二しょうじら〝N・A・G・Aニュー・アカデミック・グローリー・エイジ〟に所属する冒険者の中には、咄嗟とっさに武器や盾で視界を覆い、石化を免れた者もいた。

 されど、ゴルゴーンの頭部から伸びた白蛇達に足をすくわれて転倒、怪物の姿を目にして、研修生達の後を追うように動けなくなった――。


「あ、あ、あ」


 そして、〝S・E・I セイクリッド・エターナル・インフィニティ〟の団員達も例外ではない。数百名のテロリスト達は、あたかも石灯籠いしどうろうが並ぶように、灰色の鎧を着たまま石化して、第五階層〝妖精の湖畔こはん〟をいろどるオブジェとなった――。


「GRUU」


 ただ、例外として人間ならざる式鬼。赤い八本足の虎だけは、石化に耐性があったようだ。

 生き残った三〇匹ほどの群れが、啓介のコントロールから解放され、ゴルゴーンに食らいつこうとした。


「アニ、サマ……。トータサン……」

「GAA!?」


 されど、ゴルゴーンは白蛇の頭髪を弾丸の如き速度で伸ばし、八足虎の足と首をからめとる。

 彼女は大量の蛇を使い、万力もかくやといわんばかりの怪力でしめつけて、虎の骨が折れる鈍い音が断続的に響いた。

 赤い式鬼達は、無念そうに口をパクパクさせていたものの、やがて宙を蹴る足からも力が失われ、紙の束となって消失した――。


「キシシシシ、ざまあないっ」


 クーデターの主犯たるオレンジ色髪の青年、四鳴啓介が、日本国を守る自衛隊をも想定した戦力と断言したのは、偽らざる真実だろう。

 〝蛇髪鬼ゴルゴーン〟とは、ギリシャ神話においてメデューサとも呼ばれる強大な鬼の一柱であり、目にした者を石に変える強大無比な呪いの力を持っていた。

 そして、蛇髪鬼へびかみおにゴルゴーンをけしかけた張本人である四鳴啓介は、神鳴鬼ケラウノスのコックピットにいることから、その姿を直視しないよう外部カメラに対策を施すことも容易であり、石化の呪いに囚われる心配もないのだ。


「キシシシ。くれ陸羽りうよ。お前は最高の道具だ。醜くおぞましい哀れな怪物、〝蛇髪鬼ゴルゴーン〟よ。お前の力で、私は世界を手に入れる!」

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 四鳴啓介はなかなかのクズっぷりを見せていますね。 最初から使わず「自衛隊相手に使う予定だった」と言っているので、何か弱点もありそうですが。 イージスの楯的な装備でもあるのでしょうか。 それを…
[一言] >醜くおぞましい哀れな怪物 某ライダー「……」
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