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第145話 まさかの遭遇

145


 西暦二〇X二年六月八日の朝。

 額に十字傷を刻まれた少年、出雲いずも桃太とうたは、粗井あらい露範ろはんら〝鋼騎士ギガース〟三人を喰らい、赤い血に染まった黄色い毛並みののモンスター、〝八足虎はっそくこ〟の群れから子供達を守るべく迎え撃った。


やなぎさんは、ブンオーと一緒に子供達を守って。祖平そひらさん、援護を頼む。俺が前に出る。我流・手裏剣!」

「GYAN!?」


 桃太は、衝撃波をこめた石礫いしつぶてを虎の鼻先に投げつけてひるませたあと、首を刈るように足を蹴りこんで一匹を倒す。


「わかったよ、出雲。この子達のことは、絶対に守るから」


 サイドポニーの目立つ少女、やなぎ心紺ここんは灰色の蒸気鎧、その籠手こてにつけた仕掛け弓で牽制けんせいしつつ、八足虎を元にした〝式鬼〟ブンオーと共に九人の少年少女を守ろうと寄り添った。


「出雲君。回数制限のある〝生太刀いくたち草薙くさなぎ〟はギリギリまで使わないでね。土煙の向こう側から何かが接近してくるし、遠くにまだ大きい影が控えている!」


 瓶底メガネをかけた白衣の少女、祖平そひら遠亜とあは桃太にそう警告した後、八足虎の群れに爆発する植物、カヤクバコノミを投げつける。


「GYA!? GAAAAAA!!」


 しかし、残る四匹の黄色いモンスターは爆風に耐え、逆上して襲いかかってきた。


「まずいっ!」

「祖平さん、伏せてっ。ぐっ」」


 桃太が白衣の少女を庇い、八本足の爪を受け流そうと試みるも、都合三二本分ある足の連続攻撃には抗えず、鋭い爪で頬と肩をえぐられた。


「出雲君っ。治療をっ」

「軽傷だ。構うな」

「遠亜っち、先に倒そう。合わせて!」

「わかった。鬼術・長巻改ながまきかい


 遠亜が拾った剣に衝撃波をまとわせながら八足虎に斬りつけて横っ飛びにさけ、直後に心紺が動きの止まった二匹目の喉首を射抜いて倒した。


「よし、あと三匹だ」

「GAA!」


 されど、同胞二匹を失ったことが、八足虎の怒りを悪い方向にかきたてたらしい。三匹は散開し、非力な子供達をめがけて走り出した。


「やらせないって言ったでしょ!」

「BUNOO!」


 すかさず、心紺と彼女の式鬼ブンオーがカバーに入って一匹を抑え――。


「我流・直刀」

長巻改ながまきかい、連打!」


 桃太と遠亜が衝撃波を使ったコンビネーションでもう一匹を吹っ飛ばす――。


「GRUUU!!」


 されど、最後の一匹は同胞を囮にするかのように迂回うかいし、子供達を狙って空高く跳躍した――。


「ひっ」

「ああっ」

「トータさん、たすけて」

(まずいっ。突破される!?)


 桃太や子供達が息を呑んだ、まさにその時――。

 ダン! という轟音が響きわたり、三八足虎の胴に大穴をあけたではないか。


「え?」

「銃声?」


 遠亜も、心紺も、何が起こったか分からなかった。

 しかし、吹き荒れる風が一瞬止まり、土煙が晴れたことで、理解する。


「出雲君っ、射手は門にいるよ」

「敵、それとも味方?」


 黄色い八足虎の向かい側、門の内側にオルガンパイプ状の排気口をつけた黒光りする大型バイクと、それにまたがる黒いフルプレートアーマーの操縦者の姿が見えた。


「あ、あいつは、ほむら学園に転入する前に戦った黒騎士じゃないか!?」


 桃太は、先ほど八足虎に食われた〝鋼騎士ギガース〟達が、〝採掘場を襲撃する第三勢力〟の存在を示唆しさしていたことを思い出した。


「ひょっとしてお前も、子供達を助けに来たのか?」

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 敵五体に対して三人で子供を守るのは難しいですからね。 周囲に防御の壁を作り出せるとかない限り、突破されるのは仕方ありません。 しかしタイトルを見てまさかと思いましたが、ほんとうに「まさかの…
[一言] >「ひょっとしてお前も、子供達を助けに来たのか?」 桃太くん、君を助けに来たんだよ
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